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高知県高知市高知県子ども・子育て支援課/あいあい・まんま食堂


高知支社お客さまアドバイザー

寄付やボランティアなど支援の形はさまざま。
次世代を担う子どもたちの未来を応援したい。

2023年に迎える創業100周年に向け、「THE MUTUAL(ザ・ミューチュアル)-次代の"相互扶助"を考える-」というコンセプトのもと、100周年プロジェクトに取り組んでいます。「THE MUTUAL」とは共感・つながり・支えあいであり、次の100年に向けて進化する次代の相互扶助のことです。

今回は高知支社の職員が子どもたちの笑顔と未来のために、2020年2月に実施された高知龍馬マラソンに挑戦。その挑戦に共感してくれる方を寄付型クラウドファンディングで募り、集まった寄付金をすべて「高知県子ども食堂支援基金」に寄付させていただきました。

新型コロナウイルスの感染拡大によって一年越しの取組みとなりましたが「高知県子ども食堂支援基金」を運営する高知県子ども・子育て支援課へ寄付金をお届けし、基金の支援先のひとつである高知市の子ども食堂「あいあい・まんま食堂」へ赴き、子ども食堂を取り巻く現状、子どもたちの成長を支える取組みなど、子どもたちの笑顔と未来のために、どんな想いでどんな活動をされているかについてお話を伺いました。

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高知支社の職員が子どもたちの笑顔と未来のために、2020年2月に実施された高知龍馬マラソンに挑戦しました

苦しい時期だからこそ、
子どもたちへの支援を続ける方法を模索する。

2021年2月、高知県子ども・子育て支援課へ訪問し、「高知県子ども食堂支援基金」への寄付金を贈呈。子ども・子育て支援課の竹村さん、苫谷さんにお話を伺いました。

職員 今回わたしたちは、子どもたちの健やかな成長の支えになっている「子ども食堂」を支援したいという想いから高知龍馬マラソンに挑戦し、クラウドファンディングで寄付を募りました。これからも、地域に根差した保険会社として活動していきたいと考えており、高知県とのご縁ができたことをうれしく思っております。現在、高知県子ども・子育て支援課では、どのようなことに取り組まれていますか?

苫谷さん(以下 苫谷) わたしたちは、ひとり親家庭や、児童養護施設の支援を中心に、就園前の子どもたちが親子で過ごせる地域子育て支援センターや、地域の子育てを支えている子ども食堂の支援をしています。

職員 今回、寄付させていただく「高知県子ども食堂支援基金」は、どのように活用されるのでしょうか。

竹村さん(以下 竹村) 主に、子ども食堂の活動や感染予防対策にかかる費用、食堂での子育て支援の費用に充てています。子ども食堂は、子どもたちを見守る場となっていて、把握している限り、県内には81ヶ所あります。2020年4月に発出された1回目の緊急事態宣言時にはほぼ休止状態でしたが、屋外で食べるようにしたり、持ち帰れるお弁当を用意したりと、秋頃には6割ほどの子ども食堂が再開しました。

職員 新型コロナウイルスの感染拡大の中で子ども食堂を続けることは大変だったと思われますが、運営者の方々からは、どのような声が聞かれましたか?

苫谷 新型コロナウイルスの発生以降、皆さんこれからの活動を悩まれていました。ただ、子どもたちからの期待は非常に大きく、道で偶然会ったお子さんから「いつ再開するの?」と訊かれたことが励みになり、形を変えて再開したという話も聞いています。
お弁当の持ち帰りでも、スタッフの方との会話が交流につながります。子どもたちだけでなく、誰もが人と顔を合わせる機会を求めている。「コミュニケーションの場」としての存在価値は、失われていないようです。

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高知県庁へ訪問し、子ども・子育て支援課の竹村さん、苫谷さんにお話を伺いました

“支え合い、助け合い”のかたちとは、
顔を合わせて、会話ができる関係。

職員 子どもたちが健やかに育つための環境づくりにおいて、わたしたちがお手伝いできることはありますか?

苫谷 今回、子ども食堂の活動へ寄付をしてくださったこと、実際に子ども食堂を訪ねて現場を知ってくださったことが、環境づくりへの支援そのものだと思います。

竹村 子ども食堂を応援するための「共助の仕組み」をつくりたいという想いで設立した「高知県子ども食堂支援基金」は、皆さまの寄付によって支えられています。コロナ禍の2020年は寄付が大変多く、子ども食堂の活動への大きな支えになりました。
基金を通して、行政と子ども食堂とのつながりが広がるだけでなく、フコク生命さんや寄付してくださった企業さん、個人の方ともご縁ができました。今後もこのつながりが深まることで、活動がより活発になるのではと思います。

職員 保険の仕事も、さまざまな人とのつながりがあってはじめて成立します。「共助の仕組み」という言葉に、「THE MUTUAL」を掲げるわたしたちとの共通点を感じました。

苫谷 共通点は多いと思います。子ども食堂で使われている食材も、地元の農家やスーパーの方々が届けてくれますし、地元の青果市場からも提供いただいているそうです。運営もボランティアの方がされており、子ども食堂はまさに人と人とのつながりで成り立っています。

職員 これからの時代、人のつながりとはどのようになっていくでしょうか?また、これからの時代に求められる“支え合い、助け合い”のかたちとはどうあるべきでしょうか?

竹村 普段から顔を合わせて、会話ができる関係を築いていくこと。それがこれからの時代にも大切になってくるはずです。高知県は、幾度となく南海トラフ地震で被災しており、将来の災害にも備えなければなりません。非常時に助け合うためには、日常で助け合える関係性が必要です。

苫谷 顔見知りで話ができる、そんな関係づくりに一役買ってくれている存在の一つが子ども食堂です。「食」を通じて自然な交流が生まれる、その積み重ねが、助け合い、支え合いにつながると思います。

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高知市で子ども食堂「あいあい・まんま食堂」を運営されている長崎愛子さん(写真中央)のお話から、人のつながりには「やさしい心」と「想いを行き届かせようとする努力」が大切なのだと感じました

みんな受け入れられる空間で一緒にごはん。
自然と生まれる人と人とのつながり。

 続いて、2017年から高知市で子ども食堂「あいあい・まんま食堂」を運営されている、長崎愛子さんにお話を伺いました。

職員 先日は、「あいあい・まんま食堂」のイベントに参加させていただき、ありがとうございました。はじめに、子ども食堂を始めようと思われたきっかけについて教えてください。

長崎さん(以下、長崎) 子どもたちはもちろん、その親御さん、障がいのある方、お年寄りなど誰もが、一緒にごはんを食べられる場所をつくりたいという想いがきっかけです。
「子ども食堂」に集うのは、貧困家庭の子どもたちだけではありません。見えにくい課題を抱えている大人の方も多くいらっしゃいます。だからこそ、「門戸が広く、やさしい空間にしたい」と思い、「あいあい・まんま食堂」を始めました。

職員 この場所(高知市東部健康福祉センター2F)で開催した理由についてもお聞かせいただけますか?

長崎 もともと、障がいのある方のデイサービスや子育て支援を行っている場所であったことが決め手でした。点字の誘導もあり、トイレも完備されているので、障がいのある方も使いやすい。エレベーターもあるので、車椅子移動の方も「そこなら行けるわ」と安心してご利用いただいています。

職員 わたしたちも先日「あいあい・まんま食堂」にお邪魔しましたが、「誰もが来られる場でありたい」という長崎さんの想いを感じられました。これぞ地域コミュニティだと思いました。

長崎 そうですね。ごはんを一緒に食べることで、はじめて会った人たち同士でも会話が弾んでいきます。このエリアは、転勤してきたご家庭も多いので、会話のイントネーションから「どちらから来たの?」と自然に会話が始まって、親御さん同士のつながりが生まれる一歩にもなっている気がします。
また、これまで一人で来られていたひとり親家庭の子どもがお友達を連れてきたり、子どもたち同士でわいわい宿題をしている光景も見られるようになりました。60歳以上の方を中心とした予約制の「シルバー食堂」も開き、多様な交流ができる場となるよう意識していますね。

職員 コロナ禍における課題や、その解決に向けて、どのような取組みをされていますか?

長崎 2020年は、4~5月はすべてお休みして、6月の終わりにお弁当を配ることから再開しました。毎回、100名近くのお客さまがいらっしゃるので、感染予防を徹底して、ソーシャルディスタンスをとって開催しました。
子ども食堂の再開には怖さもありましたが、予想以上の反響をいただきました。多くのお客さまが「わずかな時間でも、人と触れ合える機会をつくってくれてうれしい」と言っていただき、開催してよかったと感じましたね。

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あいあい・まんま食堂にお邪魔して、美味しいご飯をいただきました

人と人とのつながりを強くするのは、
「やさしい心」と「行き届かせようとする努力」。

職員 みんなでごはんを食べることは、人とのつながりが自然に生まれる取組みですよね。わたしたちが携わる保険の仕事も、さまざまな人とのつながりではじめて成立するもの。長崎さんは、人と人がつながるためにどのようなことが大切だとお考えですか?

長崎 一言で言うと「やさしい心」と「想いを行き届かせようとする努力」が大切だと思います。 実は、初回の子ども食堂は大混乱。台風が来ていたので、「誰も来ないかもしれない」と30人分の料理を準備して待っていたら、2倍ものお客さまがいらしたのです。何もかもが足りなくて、最後の方のお味噌汁は薄味になっていたと思います(笑)。そんなハプニングもありましたが、オープン直後から100名以上のお客さまが来てくれるようになりました。
「あいあい・まんま食堂」のモットーは「料理は和気あいあいと楽しくつくる」。みんなやさしい心を持って、褒め合いながらお料理しています。その心がお客さまに伝わった。そして、完璧とまでは言えませんが、「想いを行き届かせようとする努力」を感じていただけたからこそ、このように多くの人と人とのつながりが生まれたのだと思います。

職員 先日お邪魔した際に感じた、わたしたちへの目配りの利いたご対応からも、「やさしい心」と「想いを行き届かせようとする努力」を実感することができました。
では、最後の質問です。これからの時代に求められる“支え合い、助け合い”のかたちとはどのようなものでしょうか?人が豊かに暮らしていくために、人と人との関係はどうあるべきだと思われますか?

長崎 “支え合い、助け合い”の関係性を築いていくためには、相手への気配りが必要だと思います。笑顔で相手の目を見て、言葉遣いにも気を付けながらお話しすることを心がけています。

感謝が行き交う関係性が築けると、毎日が豊かになりますよね。私自身、多くの方と会話できる子ども食堂の活動を楽しみ、このような時間を持てることに感謝しています。お客さまからの「ありがとう、ごちそうさま」、私からの「ありがとう、また来てね」が循環している今は、私にとってとても豊かな時間です。うれしいことに、お客さまだった方がボランティアとして食堂を支えてくれることもあるのです。これも、感謝が行き交った結果だと感じています。

高知支社 お客さまアドバイザー

編集後記

高知支社 お客さまアドバイザー

子ども食堂は「誰もが受け入れられる場所」であり、人と人とのつながりで支えられていることを実感しました。わたしたちも、子ども食堂の現状をお客さまにお伝えして、多様な「共助の仕組み」が広がっていく力になれればと思います。
また、今回のインタビューは「THE MUTUAL」の体現に向けた行動を考えるきっかけになりました。例えば、子どもたちの健やかな成長と地域活性のためにグリーンツーリズム(農漁業体験)に参加してみたり、病で髪を失った子どもたちのために社内にヘアドネーションを呼びかけたりと、わたしたちにももっとできることがあるのではないかと考えています。

※マスクを着用していない写真は、撮影時のみ外して撮影しています。

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