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岡山県銘建工業株式会社/岡山工業高等学校


岡山支社

人の想いがつながり、
人の可能性を切り拓く。

2023年の創業100周年に向け、「THE MUTUAL(ザ・ミューチュアル)-次代の"相互扶助"を考える-」というコンセプトのもと、100周年プロジェクトに取り組んでいます。「THE MUTUAL」とは共感・つながり・支えあいをベースとした、次の100年に向け進化する次代の相互扶助のことです。

今回、岡山支社では、岡山県真庭市に本社を構える銘建工業株式会社(以下、銘建工業)と岡山県立岡山工業高等学校(以下、岡山工業高等学校)とともに木製の子ども家具を製作。フコク生命オリジナル「おやさいクレヨン(※1)」とともに、真庭市内の子ども園に寄贈しました。子ども家具のデザインコンセプトは「THE MUTUAL」。家具を中心に子どもたちの輪が広がるようにとの想いを込めて岡山工業高等学校の生徒さんがデザインしました。材料には銘建工業が手掛けている木質建材CLT(※2)が使用され、子どもたちが安全に使用できるよう丈夫に作られています。そして仕上げに、子どもたちがとても可愛らしい絵を「おやさいクレヨン」で描いてくれました。

子ども家具の製作にご協力いただいた銘建工業代表取締役社長の中島浩一郎さん、そして、デザインを担当してくれた岡山工業高等学校の北村光貴さんに、「THE MUTUAL」をテーマにお話を伺いました。

※1 100周年プロジェクトの一環として、「THE MUTUAL Art for children」(ザ・ミューチュアル・アート・フォー・チルドレン)の取組みを実施しており、「おやさいクレヨン」を製作しました。「THE MUTUAL Art for children」とは、当社が2012年度より開催している「すまいる・ぎゃらりー」の作品をデザインとして活用し、その想いを発信していく活動です。作品を通じ、子どもたちと社会がつながるお手伝いをさせていただいています。また、多くの子どもたちに絵を描く楽しさを知ってほしいとの想いから、全国の保育園や幼稚園などに「おやさいクレヨン」をお届けしています。

※2 ひき板を並べた層を、板の繊維方向が層ごとに直交するように重ねて接着した大判のパネル。1990年代からオーストリアを中心として発展してきた新しい木質構造用材料。

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真庭市内 5 ヵ所のこども園(北房こども園、落合こども園、天の川こども園、 久世こども園、勝山こども園)に寄贈した子ども家具(写真上)には、子どもたちがとても可愛らしい絵を「おやさいクレヨン」で描いてくれました

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左から、秋定所長(岡山支社真庭営業所)、牧原園長先生(北房こども園)

木の可能性を切り拓き、
未来を切り拓く。

お客さまアドバイザー(以下、AD) 子ども家具の製作では、CLTをご提供いただき本当にありがとうございました。

中島浩一郎さん(以下、中島) 当社が手掛けるCLTが地域の子どもたちのために役立てることは大変うれしいことです。こちらこそお声がけをいただき、ありがとうございました。

AD  今回、ご提供いただいたCLTの製造は、銘建工業が国内トップシェアだとお伺いしています。CLTに力を入れたきっかけをお聞かせください。

中島 銘建工業は1923年に、わたしの祖父によって中島材木店として創業しました。創業者の祖父が早くに亡くなり、わたしの父が1947年に後を継ぎました。わたしは大学卒業後に教員を目指していたのですが、父の勧めもあり銘建工業に入社し、2004年から代表取締役社長を務めています。
CLTを手掛けはじめたのは、わたしが社長に就任して間もない頃、木材産業先進国のヨーロッパでCLTを使った中高層の木造建築の実現を目の当たりにしたことでした。一般的な集成材(※3)は板を平行方向に重ねるのですが、CLTは直交方向に重ねることによって、自然の木ではできない、大きくてとても頑丈なパネルを作ることができます。日本でも、新しい価値、新しい市場を作ることができるのではと考え、2010年に国産材のスギやヒノキを活用してCLTを製造することを国土交通省に提案。これをきっかけに国の研究開発課題としてCLTが取り上げられました。以来、CLT普及に積極的に取り組み、2016年には国内初の量産工場を稼働させることができました。
父からは経営が苦しい時代もあったと聞いています。多くの同業が消えていく中、当社が存続してこられたのは、1970年当時はまだ珍しかった集成材の製造を始めるなど、木の可能性を切り拓き、新たな分野に挑戦し続てきたからだと思います。

AD 木くずを原料としたバイオマス発電に取り組まれているのも、その挑戦の一つなのでしょうか。

中島 ヨーロッパでは、森林をただ維持するのではなく資源として有効活用し、そこで得られた利益を森林の育成に投資することで、豊かな資源を次代につなぐというサイクルができています。一方、日本では、そのサイクルができていないというのが現状です。元来、日本人はものを簡単には捨てず再利用するなど、きちんと使い切るということを大切にしてきましたが、その文化が薄れつつあるように思います。
21世紀になり、あらゆる資源に限りがあることが明白になり、産業革命以降続いてきた資源消費型社会から、資源とエネルギーの大量消費に依存しない循環型社会へ構造転換することが求められています。そのような中、わたしたちができることとして取り組んだのが、木質建材の製造工程で出る木くずを活用したバイオマス発電です。バイオマス発電をはじめた1998年当時は、わたしたちのような規模の会社でこうした取り組みをしているところはありませんでした。木くずから発電した電力を売電することで利益を生み出し、その利益を森林の育成に還元する。資源が循環するサイクルをつくろうと挑戦しています。木を100%使い切る循環型の事業を行うことで、木の可能性を切り拓き、広い視野での未来を切り拓くことができるのではないかという想いからはじめたのです。

AD 循環型社会の根底には相互扶助という考え方があるような気がします。わたしたちは、2023年の創業100周年に向けて「THE MUTUAL」をコンセプトに、様々なプロジェクトに取り組んでいます。「21世紀は循環型社会になる」という中島社長のお言葉に共感いたしました。

※3小さく切り分け乾燥させた木材を接着剤で組み合わせて作られる木質材料。強度や耐水性について厳格な規定、検査基準のもとで品質管理され、大規模建築物の建設も可能。

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左から、谷口お客さまアドバイザー(岡山支社真庭営業所)、中島社長(銘建工業株式会社)

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銘建工業本社工場内のバイオマス発電設備

コミュニティが、
持続可能な社会を実現する。

AD 銘建工業は真庭市を代表する企業として、子どもたちをはじめ地域で暮らす人が豊かに暮らせる社会の実現に向けて尽力されているように感じます。これからの時代、地域社会の一員として企業はどうあるべきだとお考えですか?

中島 循環型社会においては、企業が単独で永続的に成長していくことは難しいと思います。これからの時代、地域とのつながりを深めコミュニティを形成し、その中で互いに支え助けあっていく、フコク生命が掲げている「THE MUTUAL」のような考えが大切になっていくのではないでしょうか。
現在、社員向けに住宅の建設を計画しているのですが、少しでも地域に貢献できればという思いから、社外の方にも住んでいただけないかということを模索しています。また、真庭市内では託児所の数は足りているようですが、ニーズがあれば託児所などの建設も考えていきたいと思っています。
当然のことですが、人と人のつながりからコミュニティが生まれます。都会でも田舎でもコミュニティをつくれるとは思いますが、真庭市のような田舎の方がよりその機会があるように感じます。真庭市を中心としたコミュニティにわたしたちが関わることができれば、100年先も会社が存続していくと思いますし、そのようなコミュニティが地球規模で広がっていけば、持続可能な社会が実現されると思います。

「THE MUTUAL」なつながりが、
可能性を広げてくれた。

続いて、子ども家具をデザインしてくれた岡山工業高等学校の北村光貴さんにお話を伺います。

AD 今回は子どもたちのために、とても素敵なデザインを考えてくれてありがとうございました。子ども家具の製作に参加した感想をお聞かせください。

北村光貴さん(以下、北村) 今までにない貴重な体験ができて本当に感謝しています。
CLTに触れデザインすることで、大きな可能性を持つ素材だと感じました。高校の授業の中でSDGsという言葉がよく出てくることもあり、わたし自身も日本人が大切にしてきた「ものを使い切る」という考えを意識しています。銘建工業のみなさんが木を100%使い切る循環型の事業に挑戦されていることを知り、とても感銘を受けました。今回、デザインした子ども家具が子ども園の園児たちに愛され、メンテナンスされながら長く使い続けてもらえたらとてもうれしいです。

AD 「THE MUTUAL」をコンセプトに子ども家具のデザインをしてもらいました。「THE MUTUAL」という考えに触れてみて、どのように感じましたか。

北村 「THE MUTUAL」は初めて聞いた言葉でしたので最初はとまどいましたが、プロジェクトに参加したことで、人と人のつながりや助けあうことの大切さを実感しました。今回、デザインした子ども家具は、わたしひとりの力では形にできないものです。たくさんの人のアドバイスと、たくさんの人の力があって、やっと形にすることできました。一人ではなくみんなでつくったからこそ、想像以上のものを作ることができたと感じています。「THE MUTUAL」なつながりは、人の可能性を広げるのではないでしょうか。このような機会が、もっと増えたら良いなと思います。

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子ども家具をデザインしてくれた岡山工業高等学校の北村光貴さん

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編集後記

岡山支社

子ども家具の製作は、わたしたちだけでは実現できないことでしたが、銘建工業さんや、岡山工業高等学校さんをはじめ、多くの人がつながることで、世界に一つしかない子ども家具を作ることができ「THE MUTUAL」の可能性を感じました。
地域における持続可能な社会の実現を目指す中島社長のお話を聞いて、わたしたちも地域の方たちともっとつながりを深めていかなければと感じました。フコク生命では子育てを支援する「フコク赤ちゃん&キッズクラブ」という入会費・年会費無料のサービスを提供しております。素晴らしいサービスですので、こうしたコミュニティの存在をより多くの方に知っていただけるよう力を入れていきたいです。今回のプロジェクトを通じて実感した「THE MUTUAL」の可能性を、日々の活動に活かしていきます。

※マスクを着用していない写真は、撮影時のみ外して撮影しています。

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