06

広島県警 広島県防犯連合会 広島東洋カープ特殊詐欺被害防止活動


広島支社お客さまアドバイザー

Face to Faceの力を再認識
お互いを見守り、孤立させないまちづくりを

新型コロナウイルスの感染拡大によって生活が一変する中、家計支援のための特別定額給付金にまつわる「振り込め詐欺(特殊詐欺)」が横行しています。特殊詐欺被害防止は全国的な課題。フコク生命では、2015年度より特殊詐欺の被害防止に協力し、各都道府県の警察本部、警察署との連携のもと啓発活動に取り組んでいます。
今回ご紹介するのは、2020年8月に広島県で実施された「THE MUTUAL」な啓発イベント「特殊詐欺被害防止キャンペーン in マツダスタジアム」です。このイベントは、これまでも一緒に啓発活動に取り組んできた広島県警と広島県防犯連合会に加え、広島県民に最も愛されているプロ野球セ・リーグの人気球団「広島東洋カープ」の協力を得て実現しました。
イベントでは、県警・防犯連合会・フコク生命の職員が、カープ戦の来場者に特殊詐欺への注意を呼びかけました。その時お配りしたアイテムが、球団の協力を得て制作した「カープ応援うちわ」です。涼を取るための役割だけでなく、球場を真っ赤に染めることもできる応援うちわ。それに「たこのおすし」の標語を掲載して特殊詐欺被害防止の啓発も狙った一石三鳥のアイテムです。当日は35度を超す猛暑ということもあり、用意していた1000枚は大盛況のうちに配り終えました。
注)「THE MUTUAL」とは、共感・つながり・支えあいであり、次の100年に向けて進化する次代の"相互扶助"のことです。

今回「カープ応援うちわ」の配布を通し、啓発活動に取り組まれた広島県警、広島県防犯連合会の代表お二人にフコク生命のお客さまアドバイザー(以下、お客さまAD)がインタビューしました。犯罪防止に大切なこと、コロナ禍で変化を余儀なくされたコミュニケーションについてもお話いただきました。

image

実際に配られた「たこのおすし」の標語を掲載したカープ応援うちわ

半年で1億円の被害…。
「たこのおすし」で詐欺被害から市民を守る

お客さまAD 今日、みなさんとお配りした「カープ応援うちわ」。地元人気の高い広島カープとのつながりから実現したアイテムで、これからも特殊詐欺被害防止の啓発活動を進めていけたらと思っています。まず、うちわに描かれた「たこのおすし」について、県警の浜野さんからご説明いただけますか。

浜野 広島県警察本部減らそう犯罪情報官(以下、浜野) 「たこのおすし」というのは、警視庁犯罪抑止対策本部とフコク生命が共同でつくった詐欺の防犯標語です。今回はその標語に親しんでもらいたくて、広島弁にしています。(カッコ内が標準語版)。

<電話口お金の話それは詐欺!>
た しかめて
こ どもの声と違いやせんかね(こどもの声と違うかも)
の っちゃいけん(のっちゃだめ)
お 金やカードは渡さんよ(お金やカードは渡さない)
す ぐ出んさんな(すぐ出ない)
し らない番号は留守電で

お客さまAD 広島弁、たしかに印象に残りますね! では、特殊詐欺の現状について教えてください。

浜野 コロナの影響だと思うのですが、県内の犯罪数は全体で15%ほど減少しています。特殊詐欺(振り込め詐欺)は10%減なので、他の犯罪と比べるとあまり減っていないといえます。今年は6月末までに77件発生し、被害額は1億円です。

お客さまAD 1億円!? 思った以上に高額でした⋯。

浜野 そうですね。コロナ関連の手口では、世帯ごとに申請できた特別定額給付金にまつわるものが多いです。
一例を挙げると、広島市内の80代女性の家に、役所の職員と偽った者から「給付金を振り込みますが、どちらの銀行をお使いですか?」と電話があったんです。銀行名を答えると、行員になりすました犯人から電話。「役所から連絡を受けたので手続きします。口座番号は何番ですか?」と訊かれたそうです。口座番号を伝えると、「その口座は古いので新しくしましょう。キャッシュカードも替えるので、暗証番号を教えてください」と。暗証番号を教えてしまったらもうダメですよね。「ちょうど、行員が近くにいるので取りに行かせます」と電話が切れ、2、30分後にはキャッシュカードを取られて、あっという間に200万円ほど盗み取られてしまったそうです。

お客さまAD 流れるように進んでしまうんですね。しかも、給付金というのはタイムリーですし騙されてしまうかも。

浜野 特殊詐欺の手口は、その時期のトピックに合わせて変化します。今回も「オレ、コロナにかかってお金がいるんだよ」といった息子や孫騙り(かたり)の電話が来る可能性があります。引き続き、注意していただきたいと思います。

お客さまAD 特殊詐欺の被害防止のために、わたしたちができることはありますか?

浜野 離れて暮らしていても、日常的に家族と連絡を取り合うことが効果的だと言われています。また、家の電話を留守番電話に設定する、防犯機能がついた電話機に切り替えるなど、お子さんが主導して対策してあげてほしいです。
長年、家族や社会のために一生懸命働いて、穏やかな老後を過ごすための蓄えを電話一本で騙し取ることは許されない。若い方にも、家族の問題として考えてもらえたらと思いますね。

image
image

広島県警の浜野さん(右)と広島南防犯連合会の倉田さん(左)に、日々の活動についてお伺いしました

孤立する人をつくらないために
警察・防犯連合会・事業者でまちを見守る

お客さまAD 「還付金詐欺」や「コロナ詐欺」などは、身近に気軽に相談できる相手がいることで、防げる可能性がありそうですね。

倉田 広島南防犯連合会大州支部長(以下、倉田) そうですね。ご家族となかなか会えない方も多いので、防犯連合会としては地域とのつながりを大切に、情報共有に努めています。子どもたちやご高齢の方への声かけ運動を通して、なんでも話しあえ、相談しあえるような町にしたいです。孤立する人がいなくなってほしい、そう思います。

お客さまAD 子どもの虐待死など痛ましい事件に触れるたび、「気軽に相談できる人が近くにいたなら⋯」と感じます。わたしたちお客さまADが、生活する中でのお悩みなどを気軽に話していただける存在になることも、孤立防止につながるかもしれませんね。倉田さんが、防犯連合会で活動しようと思われたのはなぜですか?

倉田 縁あって同じ町に住んでいる町民のみなさんのために、何かできることはないかと考えたことがきっかけです。まずは、安全に暮らせる町であり続けるため、子どもたちの登下校見守りや声かけ運動はこれからも続けていきたいです。

お客さまAD マツダスタジアムで「たこのおすし」うちわを配っているとき、倉田さんが来場されたお知り合いと談笑されていたんです。町内の方と偶然出会うのもすごいですが、仲良くお話される様子に、地域でのつながりづくりに力を入れてこられたことを実感しました。

浜野 子どもさんの登下校見守りなどは、地域の方の協力で実現しています。本当に感謝していますし、警察が防犯活動をよりきめ細やかに行うためにも、地域の方とのつながりづくりが重要ですね。

image
image

広島県警、広島南防犯連合会、フコク生命の職員が協力し、カープ戦の来場者に特殊詐欺への注意を呼びかけました

コロナ禍を経て揺らぐコミュニケーション
新たなつながりづくりを模索する

お客さまAD 今回のインタビューは、フコク生命100周年プロジェクト「THE MUTUAL~次代の相互扶助を考える~」の活動のひとつです。保険の営業活動で「人のつながり」や「相互扶助」は、当たり前すぎて改めて問い直すことがなかったのですが、このコロナ禍で考えてしまいました。
Face to Faceで生まれる人と人とのつながりが大切と言っていたのに、自粛期間中お客さまにお会いできなくなって⋯。お二人は、コロナ禍で活動やお考えに変化はありましたか?

浜野 活動への影響は大きかったですね。警察には、制服を来た警察官が一軒一軒お宅を訪ね歩く「巡回連絡」という仕事があります。「何か変わったこと、困りごとはありませんか?」と尋ねたり、犯罪への注意喚起をするのですが、一時ストップしてしまいました。
注意喚起などの情報発信にはSNSを活用するようになりましたが、近況を知るという目的はオンラインだと難しいので、徐々に巡回を再開しています。感情の変化は、対面でないとなかなか感じ取れないものですね。

お客さまAD わたしたちも、訪問活動ができなくなり、お手紙やお電話で連絡をとって状況を確認していました。当たり前だったFace to Faceが、どれほどすごい力を持っていたのか実感しました。対面するだけでお元気かどうか分かりますし、同じ空間にいることで醸成される安心感のもとでお話できていたんだなと。オンラインで、どこまで対面の安心感に近づけられるかは、これからの課題かもしれません。

倉田 地域では、子どもたちが楽しみにしていた盆踊り、秋祭り、亥の子祭りといったイベントが中止になり、住民同士の交流が減ってしまいました。高齢の方は外出や運動をしなくなり、健康被害も深刻です。私は町内会長でもあるので、緊急事態宣言の解除後は公園を使用できるようにして、老人会のみなさんにグラウンドゴルフを楽しんでもらっています。

交流機会が減って、人とのつながりをどうしたら深められるかについては今も悩んでいます。ただ、意外なこともありました。今まで、グラウンドゴルフに一度も参加しなかった方が、何人か顔を出してくれたんです。コロナ禍を「生き方を考え直すきっかけ」にされた方がいらっしゃるのかもしれません。勇気を出して来てくださったと思うので、積極的にお声がけしています。

お客さまAD 最後に、安全なまちづくりに向けて取り組みたいことを教えてください。

倉田 犯罪や災いは突然やってきます。常に防犯意識を持てるよう、町民のみなさんとお互いに情報交換できる状態をつくっていきたいです。

浜野 地域のみなさま、防犯にご協力いただけるフコク生命さんのような事業者と手を携えて、コミュニケーションを取り合って防犯に努めたいと思います。特に、お客さまADのみなさんが日々お客さまと接する中で何かしら変化を感じたら、遠慮なく警察に教えてください。

image
image

「たこのおすし」の標語の意味をお伝えしながらお配りしました

広島支社 お客さまアドバイザー

編集後記

広島支社 お客さまアドバイザー

「特殊詐欺、気をつけてくださいね」とお声がけしながら、マツダスタジアムで「たこのおすし」うちわをお配りしました。「あぁ、気をつけんといけんねぇ」と反応があるものの、気持ちがカープの応援に向かっていたせいか(笑)、どこか自分と特殊詐欺が無関係のように思われる方が多かった印象です。ただ、被害額が半年で1億円という事実は、実際に被害に遭い、大切なお金を失った方がいるということ。これからも、お客さまへの訪問活動等を通して啓発活動に取り組んでいきたいです。

※マスクを着用していない写真は、撮影時のみ外して撮影しています。

▲