親の暮らしを守る、
介護に必要な費用と保険を考える

親の介護は、お金がかかる!

30~50代の働き盛りの世代は、仕事や家事・子育てなど、忙しい毎日を過ごしているうちに、あっという間に月日が経ってしまうものです。同時に、親も同じように歳を重ねていきます。いつまでも親は元気だと思っていても、高齢になると突然転倒して骨折したり、脳梗塞などの病気を発症したり、心配事が増えてきますよね。

もしも親の介護が必要になったとき、というのを考えたことがありますか?

介護をするには実にさまざまな費用が必要になります。ここでは、親の暮らしを守るためにも考えなければならない、介護費用や保険について解説していきます。

・介護に要した費用は、一時費用は「平均74万円」、月々の費用は「平均8.3万円/月」
まずは、介護にかかる費用について見てみましょう。

生命保険文化センターのアンケート調査によると(※1)、介護に要した費用のなかで、バリアフリー化・手すり設置などの住宅改修や介護用器具の購入などにかかる一時費用は、「平均74万円」。また、ヘルパーによる訪問介護やデイサービス、ショートステイ、老人ホームなどの利用にかかる月々の費用は、「平均8.3万円」となっています。

・介護はいつ終わるかわからない
また、介護のさらに大変なところは、いつ終わるかわからないことです。前述の生命保険文化センターのアンケート調査では、介護期間は平均して「5年1ヵ月」とありますが、10年以上にわたり介護を続けたという方も17.6%にのぼります。

※1.生命保険文化センター「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」

公的介護保険制度で一定程度まかなえても、
不足分はどうする?

大きな費用負担がかかるうえに、いつ終わるかわからない介護。こうした介護費用に対して、日本では公的介護保険制度で一定金額はまかなうことができます。しかし不足分は親の貯蓄や年金、または子どもが支払う必要が出てきます。

・公的介護保険制度とは?
その公的介護保険制度について説明しましょう。

公的介護保険制度とは、被保険者に介護が必要となった際に、介護サービスを受けることができる社会保険制度です。日本の高齢化が進むなかで、介護における家族の負担を軽減し、社会全体で支えることを目的に、2000 年に創設されました。国と地方行政の費用負担に加え、被保険者から徴収される介護保険料により、成り立っています。

・介護保険料と介護保険サービス
介護保険料は、65歳以上(第1号被保険者)の方は、原則年金から徴収され、40~64歳(第2号被保険者)の方は、健康保険の一部として徴収されます。また、介護保険サービスは、第1号被保険者の場合、原因を問わずに要介護認定また要支援認定を受けたときに介護サービスを受けることができます。また、第2号被保険者は、加齢に伴う疾病(特定疾病※2)が原因で要介護(要支援)認定を受けたときに介護サービスを受けることができます。

※2.特定疾病とは、末期がんや脳血管疾患などです。詳しくは、「介護保険制度について‐厚生労働省」をご確認ください。

・要介護認定
要介護認定とは、被保険者が介護を必要とする状態かどうか、また必要であればどの程度必要かを判定するもので、お住まいの市区町村の役所に申請をして認定を受けることができます。

要介護認定には「自立」、「要支援(1~2)」、「要介護(1~5)」があります。「要支援」は、日常生活は概ね自分で行うことができるものの、将来的に要介護状態となる可能性があり、それを予防するために支援を要する状態で、「要介護」は、日常生活において常時介護を要する状態です。

要介護認定によって受けられる介護サービスが異なり、要支援では、リハビリなどの「介護予防サービス」が、要介護では訪問介護・デイサービス・ショートステイなどの「介護サービス」が受けられます。

・親の公的介護保険制度で、介護費用が足りなければ…
公的介護保険制度で利用できるサービスは、親の所得に応じて1割から3割の自己負担が発生します。また、1ヵ月に利用できる上限金額が決まっています。公的介護保険制度で不足する分は、親の貯蓄や年金から支払うことになりますので、日頃から将来について親と話し合い、もしも介護状態になったときにかかる介護費用をどう準備しておくのか、現在の貯蓄や年金の金額なども確認しながら、話し合っておきましょう。

また、ご自身の親が民間の介護保険に加入している場合は、民間保険も活用できます。介護保険や医療・がん保険などは、主契約のみでなく特約として付されているケースも含め、加入状況を確認しておくことが必要です。

参考:介護保険制度について 厚生労働省(40歳になられた方へ)

子どもの収入を親の介護費用に回すことも

公的介護制度の不足分が親の貯蓄や年金で支払えない場合、その負担は子どもが負うことになります。特に、施設での介護が長期化した場合などは、費用負担が高額になります。そのため子どもの貯蓄や収入を介護にまわさなければならないことも、十分に想定されます。

・子どもの収入で親の介護
しかしながら、子どもの貯蓄や収入と言っても、総務省統計局「家計調査報告」(※3)によると、貯蓄は、退職金が出ている親世代(60代~)に比べ、子ども世代(~50代)は少なくなっています。家賃や住宅ローンの返済のほか、子育て費用や教育費なども抱え、生活費用は働くことで得る毎月の収入でまかなっているのが現状です。

また、介護が必要な親を抱えた子ども世代は、そろそろ、自分自身の体調も気になってくる年代です。公的介護保険制度や親の貯蓄・年金では足りなくなり、日々の生活費に加え親の介護費用も負担することになったとき、もしも病気やケガで働けなくなり収入が得られなくなってしまったら、親の介護や大切な家族の生活はどうなってしまうのでしょうか。

こうした就業不能状態になってしまったときの経済的なリスクに備え、就業不能保険という保険があります。

※3.総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2022年(令和4年)平均結果-(二人以上の世帯)」

就業不能保険のすすめ

・就業不能保険とは?
就業不能保険とは、病気やケガで働けなくなったときに収入を保障するための保険です。もし長期入院を余儀なくされて働くことができなくなり給与がもらえなくなった場合(就業不能状態)、公的保障に加えて、就業不能保険で月々の生活費をサポートすることができます。

・就業不能保険の3つのメリット
就業不能保険には、大きく3つのメリットがあります。

ひとつめは「公的保障でまかなえない収入の減少分をカバー」することができます。長期入院して働けない状態になり、収入が減少した際には、まずは公的保障(傷病手当金や障害年金)で支えられる仕組みがあります。しかしながら、たとえば会社員では、傷病手当金が受け取れるものの収入は2/3と目減りするため、元の収入をまかなうことはできません。また、入院費用などは別途必要です。このように、公的保障で不足する費用を、就業不能保険で補うことができます。

ふたつめは「医療保険がまかなえない状態をカバー」すること。入院費用などの医療費は医療保険でまかなうことができますが、退院後の在宅療養や日々の生活費まではまかなうことができません。こうした医療保険ではカバーできない不足金額をまかなえるのが就業不能保険です。ただし、「就業不能状態」の定義は保険会社によって異なっているため、加入する前に「まかなえる範囲」を確認することが大切です。

そして就業不能保険の3つめのメリットが「将来、働けなくなったときの経済不安を軽減」できることです。病気やケガで突然、働けなくなることは誰にでも起こりえます。そうなれば、家族は悲しむ間もなく、経済的に大きな不安を抱えることになります。こうした経済的リスクに、就業不能保険は備えることができるのです。

まとめ

現役で働く子ども世代は、自らの収入でさまざまな費用を負担しなければなりません。高齢化が進む現代社会では、親の介護費用も想定する必要があるでしょう。

介護費用は、公的介護保険制度や親の貯金、年金などでまかなえますが、介護が長期にわたると不足分が発生し、子どもに負担がかかってきます。そんなとき、もしも働けなくなったとしたら、親の生活だけでなく、家族の生活も守れなくなってしまいます。

こうした事態に備え、就業不能保険を選択肢の一つとして検討してみてはいかがでしょうか。

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