制度導入後事務等

  • 制度開始後の企業の事務負担は、どのようなものがあるのでしょうか。
    企業は運営管理業務の一部または全部を行うことができますが、運営管理業務を行わない場合(同業務を運営管理機関に委託する場合)は次のような事務を行うことになります。

    • 説明会等の実施(従業員(加入者)への周知徹底)と加入申込書のとりまとめ

    • 拠出金の送金事務・従業員(加入者)の退職時の移換手続や給付(死亡・高度障害含む)の取扱指示

    • 個人別リスト等による各個人への拠出額・受給権・費用分担等の諸事務

    • 従業員(加入者)への継続的な投資教育(運営管理機関等に委託可能)等

  • 事業主や運営管理機関の義務や禁止事項は何ですか。
    企業型年金を実施する企業や運営管理機関の行為・準則(抜粋)は次のとおりです。

    事業主
    1. 1.

      法令や「確定拠出年金規約」等を遵守すること。

    2. 2.

      加入者等のために忠実に事業主の業務を遂行すること。

    3. 3.

      自己または加入者等以外の第三者の利益を図る目的で運営管理契約や資産管理契約を締結してはならない。

    運営管理機関
    1. 1.

      法令や運営管理契約等を遵守すること。

    2. 2.

      加入者等のために忠実に運営管理機関の業務を遂行すること。

    3. 3.

      自己または加入者等以外の第三者の利益を図る目的で特定の運用方法を加入者等に提示すること、加入者への損失補填や利益供与(約束する場合を含む)、提示商品のうちから特定の商品の推奨等、加入者等の保護に欠ける行為などの行為を行ってはならない。

  • 加入者はどのように保護されるのですか。
    確定拠出年金法では、企業型年金を実施する企業、運営管理機関および資産管理機関に、法令及び確定拠出年金規約、運営管理契約、資産管理契約を遵守し、加入者等のために忠実に業務を遂行する義務を負わせています。また、運営管理機関には個人情報の不正使用、加入者への損失補填や利益供与、第三者への利益を図る目的で特定の運用方法を提示することなど、行ってはならない具体的な行為準則を示し、罰則や行政処分を課すことで、加入者等を保護しています。
  • 従業員(加入者)は、積み立てた年金資産を途中引出しできるのですか。
    確定拠出年金法では、年金資産の支給要件は、「一定の年齢(60歳以上)への到達」、「障害の認定」または「死亡」となっており、こうした事情以外での途中引出しは原則としてできません。途中での引出しを可能にすると、「年金」ではなく、米国の401(k)同様「貯蓄」としての性格が強くなってしまうからです。ただし、一定の要件を満たした場合には、退職時に脱退一時金として受給できる場合があります。
  • 資産管理機関が破綻したらどうなりますか。
    加入者の年金資産は全額保護され、速やかに他の資産管理機関に引き継がれます。一時的に各種手続が滞ることが想定されます。
  • 運用商品提供機関が破綻したらどうなりますか。預金は保証されますか。
    各商品ごとに次のようになります。

    預金銀行が破たんした場合は、預金保険制度の対象となり、元本1,000万円までとその元本に係る利息等は破たん金融機関の財産の状況に応じて支払われます。
    ただし、同一金融機関に確定拠出年金制度以外での預金がある場合は、制度外の預金が優先的に保護されます。
    利率保証型確定拠出年金保険生命保険会社が破たんした場合は、生命保険契約者保護機構により、一定の保護が図られ、高予定利率契約を除き、破たん時点の責任準備金等の90%まで補償されます。
    なお、保険契約を救済保険会社等に移転する際、予定利率の変更等の契約条件の変更が行われる可能性があり、また、保険契約の移転後、一定の期間に保険契約を解約する際には、解約控除が適用されることもあります。
    • 高予定利率契約とは、破たん時に過去5年間で常に予定利率が基準利率を超えていた契約を指します。

    積立傷害保険損害保険会社が破たんした場合は、損害保険契約者保護機構により、一定の保護が図られ、高予定利率契約を除き、破たん時点の保険金・返戻金の90%まで補償されます。また、利率保証型確定拠出年金保険と同様に契約条件の変更や解約控除の適用の可能性があります。
    投資信託確定拠出年金制度の加入者が商品提供機関(投資信託の販売会社)を通じて投資信託を購入するということは、投信委託会社が発行する受益証券を購入するということです。販売会社は、受益証券の購入代金を一括して投信委託会社へ送金し、投信委託会社はそれを信託契約を締結した受託会社(信託銀行)に信託し、その運用の指図を行います。つまり、受益証券の購入代金は、信託財産として受託会社が管理することとなります。したがって、商品提供機関が破たんしても、加入者の持分は確保されています。
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