保険お役立ちコラム
医療保険と聞くと、「入院時の保障が手厚く安心できる」イメージをもつ方が多いかもしれません。しかし、多くの人にとっては入院よりも通院の機会が多く、病気やケガの程度に応じて通院回数も変わってきます。
退院した後も、治療のため長期的に通院しなければならない場合、診察などにかかる費用以外にも交通費などが発生します。この記事では、長期の通院にそなえる通院保障について、保障内容や商品の種類・加入時の注意点などについて解説します。
目次
通院に手厚い保険と聞いて、病気の治療など、長期にわたり病院に通う状況を想定した「通院保険」のような商品をイメージする方は多いかもしれません。しかし、どのような通院でもカバーできる“通院にのみ特化した医療保険”については、残念ながら取り扱いのない保険会社がほとんどです。
それでは通院は医療保険でまったく保障されないのかというと、そんなことはありません。多くの場合、医療保険の特約として「通院保障」というものが用意されています。
通院保障とは、通院治療をする際に給付金が受け取れる保障のことをいい、基本的には通常の医療保険に特約として付加するのが一般的です。医療保険に通院保障をつけると、病気・ケガの治療をするため通院した際、通院1日につき所定の給付金が支払われます。
通院保障に加入する際は、加入後の「すべての通院を保障するものではない」点に注意しましょう。たとえば、朝起きて何となく調子が悪いと感じ、念のため病院で診察してもらったようなケースは、基本的に通院保障の対象外です。
通院保障で保障される主なケースとしては、入院前・退院後の通院などがあげられ、保険会社によって一定の条件が設けられていることがほとんどです。具体的には、大きい病気・ケガをした後の経過観察、検査、投薬といった通院が該当します。
このような性質をもつ通院保障は、仮に単独の保険に加入したとしても、加入者にとってはあまりメリットがないものと考えられます。よって、通院保障を選ぶ際は、通院保障を付加できる医療保険の内容にも注目して選ぶことが大切です。
かつては、大病ともなれば入院が前提になるケースがほとんどでした。しかし近年では、医療技術の進歩によって、入院日数が短期化しています。
厚生労働省の「令和5年(2023)患者調査(確定数)の概況」によると、退院患者の平均在院日数は減少傾向にあり、平成2年(1990年)の平均入院日数が44.9日となっているのに対し、令和5年(2023年)の病院と一般診療所を合わせた平均入院日数は28.4日となっています。単純に考えて、30年前に比べて16日ほど早く患者が退院できている計算になります。
また、病状によっては日帰りで手術できるケースも増えてきており、医療技術が進歩するにつれて入院期間はより短くなることが予想されます。そのような事情から、通院保障を重視する人は今後も増え続けるものと推察されます。
先述したとおり、通院保障は医療保険に付加する特約のため、医療保険で十分にカバーできない部分を保障するために加入するものです。以下、具体的な保障内容について解説します。
通院保障の一般的な保障内容は、医療保険に特約を付加することで、退院後の通院時に通院給付金が支払われるというものです。たとえば、大きな病気・ケガの経過観察のようなイメージで、通院して検査・投薬をするケースが想定されます。
入院後の通院だけでなく、入院前の通院が保障される商品もありますが、その入院の原因となった病気やケガの治療のための通院であることが条件となることが多いです。ただし、がん保険の場合、入院前後の通院でなくても通院保障の対象になる商品もあります。
がん治療は、そのほかの一般的な病気・ケガと比較して長期化するリスクが高く、通院回数も増えることが予想されます。そのため、がん保険における通院保障の重要性は高いといえるでしょう。
通院保障で保障される期間は、保険内容によって異なるため、加入前に「いつまで給付金が支払われるのか」をチェックしておくとよいでしょう。退院後の通院時に通院給付金が支払われるケースを例にとると、「退院の翌日から120日以内で30日分の通院」を限度とする、全体での限度日数は1,095日であるなど一定の限度日数が設けられています。
給付金の金額の算出方法も、通院保障の内容によって異なります。具体的には、1日につき5,000円など日数で計算するものもあれば、医療行為に対する価格を計算するのに用いられる点数(診察報酬点数)を一定の料率でかけ算して算出するものもあります。
また、医療保険によっては基本保障の中に通院保障が含まれていることもあります。その場合は任意で取り外せないため、仮に解約するなら医療保険ごと解約しなければならず、通院保障を特約で付加する場合に比べて慎重な判断が必要になります。
通院保障は、どのような保険に付加したのかによって、そなえられる範囲にも違いが見られます。以下、通院保障を付加できる保険、給付金が支払われる保険について、主なものをいくつかご紹介します。
医療保険における保障内容は、病気・ケガなどで入院したときに受け取れる「入院給付金」と、手術を受けたときに受け取れる「手術給付金」が主な内容となっています。その他の保障が必要であれば、自分の希望に応じて別途付加していく形になります。
一般的な病気やケガの入院・手術にそなえる医療保険に通院保障を付加する場合、「入院前の通院」・「退院後の通院」でなければ給付金を受け取れないケースがほとんどです。そのため、風邪などの軽微な体調不良が長引いたとしても、それだけを理由に給付金は受け取れません。
また、退院後の通院の主な目的が経過観察などのケースでは、通院日数が少ない傾向があり、給付金の額もわずかになる可能性があります。医療保険に通院保障を付加する際は、これまでの通院・入院の経験も加味しながら、本当に自分に必要な保障かどうか検討することが大切です。
がん保険は、がんと診断されたとき・所定のがん治療を受けたときに保障が受けられる保険です。そのため、がん保険に付加する通院保障は、がん治療を目的とした通院に限られています。
一見すると、医療保険に比べて不利なように感じられるかもしれませんが、がん保険の通院保障は「入院をともなわない通院」に関しても保障の給付対象となるケースが多く見られます。具体的には、がんの三大治療である放射線治療・抗がん剤治療・ホルモン剤治療のために通院した場合などが該当します。
退院後の通院について、手厚い保障が設けられている保険商品も魅力的です。たとえば、がんの入院給付金の保障対象となる入院をして、退院日の翌日から365日以内に通院した場合、日数無制限でがん通院給付金を受けとれるものもあります。
傷害保険は、ケガにより死亡したとき、入院・通院したときに保険金が支払われる保険です。通院保障という枠組みからは少し離れますが、傷害保険に加入している場合も、通院時に給付金を受け取れることがあります。
具体的には、傷害保険の補償対象となるケガをして通院した場合に、所定の日数を限度に傷害通院給付金を受け取れるプランが一般的です。傷害保険に関しては、加入者のケガの補償だけでなく、賠償責任に対して保険金が支払われる商品もあります。
通院保障は、入院前・退院後の通院にそなえられるため、通院が多くなる場合でも安心できる保障内容となっています。ただし、いかなる場合においても必要性が高いとは限らないため、実際に加入を検討する際は、以下の点に注意して判断することをおすすめします。
通院保障は、その給付金の名称からして、以下のとおりさまざまなものがあります。
通院給付金
退院療養給付金
放射線治療給付金
抗がん剤治療給付金 など
このように、給付金の名称は商品によって異なるため、通院時に給付金が受けられるのか名称だけではよく分からないものもあります。医療保険や通院保障の内容については、通院に関して保障が受けられる条件があるかどうか、パンフレットなどを確認してから判断しましょう。
保障範囲や利用限度もそれぞれ異なるため、追加保険料に見合ったものかどうかも検討しながら選びたいところです。
一般的に、自分が将来かかるであろう病気について推測するのはむずかしいものですし、大病を患った大半の方々が「自分が病気になるとは思わなかった」と考えているはずです。そういったケースを想定してそなえるのが通院保障ではあるものの、保障の適切な額は個人のライフプランや経済状況によって異なります。
通院保障を選ぶ際の基本的な考え方は、現在の貯蓄や収入状況を考えた際、「足りない分だけ保険でカバーできるかどうか」です。通院でかかる医療費だけでなく、交通費も含めてシミュレーションを行うことが大切です。
厚生労働省の「令和4(2022)年度 国民医療費の概況」によると、令和4年度の入院外医療費は16兆4,731億円となっており、これを2022年の日本人口1億2,494万7千人で割ると、1人あたりの年間医療費は約132,000円(千円未満切り捨て)となります。これをさらに12ヵ月で割ると、1ヵ月あたりの医療費は約10,000円と推計できます。
この条件で月に2回通院すると仮定すると、1回の通院あたり5,000円が給付されれば、医療費分は給付でまかなえる計算になります。
もちろん、病気やケガの程度によっては、より多くの医療費がかかる可能性があります。あくまでも目安として、参考にしてください。
通院時にかかる費用を保障する保険商品を探す場合、医療保険などに付加する通院保障を探す必要があります。風邪などの軽微な症状には基本的に使えませんが、入院前・退院後の通院やがん治療時などに保障を受けることができます。
特に、がん治療は退院後も継続することが多いため、通院が長期化することを想定して通院保障に加入しておくと安心です。ただし、医療保険などに加えて特約分の保険料が発生しますから、現在の貯蓄・収入の状況を考えたうえで、足りない分だけ保障できるような商品を選びましょう。
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2025年04月17日
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