保険お役立ちコラム

高度障害とは?支払対象となる具体的な状態について解説

高度障害とは?支払対象となる具体的な状態について解説
  • 未来のとびら

生命保険は、保険をかけられている人が亡くなった場合のほか、「高度障害状態」と認定された場合にも保険金が支払われることがあります。ただし、高度障害状態とみなされるためには、所定の要件を満たしていることが条件となります。

自分や家族が重大な障がいを負い、いざ要件を調べようとすると、保険の約款の言い回しがよく分からず混乱してしまうかもしれません。この記事では、どのような状態になったら高度障害と認定されるのか、詳細を分かりやすく解説します。

  • 本記事の内容は公開日時点の情報となります。法令や情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。

  • 本記事では、一般的な例を記載しています。本記事で言及している保険商品・保障内容等について、当社では取扱いの無い場合がございます。詳細は取扱いのある金融機関にお問合わせください。

1.高度障害とは

高度障害とは、ケガ・病気などによって、体の機能が著しく損なわれた状態のことをいいます。生命保険の多くは、加入している人が高度障害状態になった場合、死亡保険金と同額の高度障害保険金が支払われるよう約款(契約の内容について定めたもの)で定めています。

保険契約上、高度障害は死亡と同じレベルで重大な状態のため、具体的な基準は生命保険会社の約款に記載されています。いわゆる身体障害者福祉法などの「法律で定められた障害状態」とは異なるため注意が必要です。

2.保険会社で定めている高度障害状態の要件

保険会社で定める高度障害状態の要件には、つぎの7つが該当します。
  • 両眼の視力を全く永久に失ったもの
  • 言語またはそしゃくの機能を全く永久に失ったもの
  • 中枢神経系・精神または胸腹部臓器に著しい障がいを残し、終身常に介護を要するもの
  • 両上肢とも手関節以上で失ったか、またはその用を全く永久に失ったもの
  • 両下肢とも足関節以上で失ったか、またはその用を全く永久に失ったもの
  • 1上肢を手関節以上で失い、かつ、1下肢を足関節以上で失ったか、またはその用を全く永久に失ったもの
  • 1上肢の用を全く永久に失い、かつ、1下肢を足関節以上で失ったもの
以下、それぞれの状態について解説します。

両眼の視力を全く永久に失ったもの

両目の視力を失った場合、高度障害と認定されます。完全に失明している全盲の場合はもちろん、眼鏡やコンタクトレンズなどで視力を矯正しても、両眼ともに矯正視力が0.02以下で回復の見込みがない場合は、同じく高度障害と認められます。

その際、視力は1眼ずつ「万国式試視力表」で測定した矯正視力で判断します。万国式試視力表とは、学校などでよく使われていた、円の一部に欠けがある方向を示すタイプの視力検査表です。

なお、視野の一部が欠損する視野狭窄(しやきょうさく)や、上まぶたが下がって眼が閉じてしまう眼瞼下垂(がんけんかすい)は対象外となります。

言語またはそしゃくの機能を全く永久に失ったもの

話すことができなくなったり、固形物をかみ砕いて食べられなくなったりした場合が該当します。話すことができない場合、そしゃくできない場合それぞれについて、多くの約款では条件が詳細に定められています。

「言語の機能を全く永久に失ったもの」とは、つぎのいずれかに該当し、言葉で自分の意思を伝えることができない状態で、回復の見込みがない場合をいいます。

口唇音、歯舌音、口蓋音、こう頭音の4種のうち、3種以上の発音が不能で回復の見込みがない場合

口唇音(こうしんおん)とは、上下の口唇が接触する言葉(まみむめも、ばびぶべぼなど)と、接触しないもの(はひふへほ、わなど)をいいます。

歯舌音(しぜつおん)とは、上前歯の裏や先と舌の先や端を使って出す言葉(さしすせそ、たちつてとなど)をいいます。

口蓋音(こうがいおん)とは、舌と歯の内側の口蓋を使って調音される言葉(かきくけこ、やゆよなど)をいいます。

こう頭音とは、舌根をのどぼとけに近づけることで発する言葉(はひふへほなど)をいいます。

これら4種の発音につき、3種以上の発音が不能であり、かつ回復の見込みがない場合は高度障害と認定されます。

中枢性失語症となってしまった場合

中枢性失語症とは、頭の中で言葉を理解して、自分で言葉を作り出せない状態のことをいいます。失語症になってしまうと、音声・言葉での意思疎通が難しくなります。

声帯を摘出し、声を発することができなくなった場合

声帯とは、喉頭(こうとう)に存在する「発声するための器官」です。喉頭がんなどを理由に声帯を摘出してしまうと、その後は声を生成することができなくなり、言語機能を失ったものとみなされます。

そしゃくの機能を全く永久に失った場合

「そしゃくの機能を全く永久に失った」とは、口の中で食べ物をかみ砕けず、流動食以外のものが摂食できない状態のことをいいます。固形物をかみ砕き、唾液と混ぜ合わせることができなければ、高度障害と認定されます。

中枢神経系・精神または胸腹部臓器に著しい障がいを残し、終身常に介護を要するもの

中枢神経系(大脳・小脳・脳幹・脊髄)や、胸腹部臓器(呼吸器・循環器・腹部臓器・泌尿器・生殖器)に著しい障がいを残し、以下にあげる行為が単独でできず、常に他人の介護を必要とする状態が該当します。

なお、下記につき何かひとつでも自分でできる場合は、原則として高度障害状態には該当しません。

食物の摂取が自分ではできない

はし・スプーン・フォークなど、いずれの食器を使用しても、食物を自力で運べない状態が該当します。

排便・排尿やその後の始末が自分ではできない

洋式便所を基準とした場合に、大小便の排泄が自分でできない状態が該当します。ただし、トイレまでいくこと・便座に座ること・ズボンや下着の着脱については含まれません。

また、大便または小便を排泄した後に、自力で体の汚れた部分をトイレットペーパーなどで拭えない状態も該当します。

衣服着脱が自分ではできない

衣類の着脱に関しては、ボタン・チャックがない衣類につき、自力で着たり脱いだりできない状態が該当します。たとえば、Tシャツ・トレーナーなどが自力で着られないと、衣類着脱が自分ではできないものとみなされます。

起居が自分ではできない

横になった状態から、自力で起き上がって座った姿勢(座位)を自分で保てないことをいいます。

歩行が自分ではできない

他人の介助なしには、自力で歩けない状態をいいます。ただし、杖や手すりなどを利用すれば、自力で歩行できる場合は該当しません。

入浴が自分ではできない

浴槽に入ったり出たりすることが、自力ではできない状態をいいます。ただし、手すりなどを使って浴槽に入ったり出たりすることができ、ほかの誰かの介助を必要としない場合は該当しません。

両上肢とも手関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの

両上肢とは、左右の肩口から先の手のことをいい、その箇所の障がいが深刻な場合は高度障害と認定されます。たとえば、上肢を手関節(手首)以上で切断している場合は、高度障害と認定されます。

そのほか、以下のような状態に該当する場合は、高度障害とみなされます。

両上肢の完全運動麻痺

完全運動麻痺とは、全く動かせない状態、または各関節が完全に麻痺して自力では動かせない状態のことをいいます。両上肢が完全運動麻痺の状態となってしまった場合、高度障害と認定されます。

3大関節の完全強直

3大関節とは、肩・ひじ・手首の各関節を指しており、完全強直とは「自力で形態を変えることができなくなった状態」をいいます。3大関節のすべてが完全に固まったままで、自力で曲げたり動かしたりできなくなり、回復の見込みがない場合は高度障害と認定されます。

なお、3大関節の各関節の可動範囲が、生理的運動範囲の1/10以下となった場合も、回復の見込みがなければ「完全硬直」に該当します。

両下肢とも足関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの

両下肢とは、左右の股関節以降の箇所をいいます。両下肢を足関節(足指)以上で切断している場合や、両下肢が完全運動麻痺におちいっている場合は、高度障害と認定されます。

また、股・膝・足首の3大関節のすべてが完全に固まってしまい、自力で形態を変えられない完全強直の状態になってしまった場合も、回復の見込みがなければ高度障害にあたります。

なお、人工関節挿入(置換)手術を受けた場合は、その手術を受けた関節については「関節の用を全く永久に失ったもの」とみなされます。

しかし、高度障害状態として認められるには、両下肢の「6つの関節(両股・両ひざ・両足首)すべてに人工関節挿入(置換)手術を受けている」という条件を満たさなければなりません。

1上肢を手関節以上で失い、かつ、1下肢を足関節以上で失ったか、またはその用を全く永久に失ったもの

片腕を手首以上、片脚を足首以上で切断した場合は、高度障害と認定されます。腕と脚の機能を、片方ずつ失ったものと考えると分かりやすいでしょう。

片腕を手首以上で切断し、片脚が全く動かせない、または片脚の関節が完全に麻痺して自分で動かせない場合も該当します。あるいは、同じく片腕を手首以上で切断し、片脚の関節が完全に固まり動かせないか、動かせる範囲が生理的運動範囲の1/10以下となり回復の見込みがない場合も、高度障害と認定されます。

1上肢の用を全く永久に失い、かつ、1下肢を足関節以上で失ったもの

片腕が全く動かせない、あるいは関節が完全に麻痺して自分で動かせない場合で、かつ片脚を足首以上で切断したケースは高度障害と認定されます。片腕の関節すべてが完全に固まって動かせない場合のほか、動かせる範囲が生理的運動範囲の1/10以下となり回復の見込みがなく、片脚を足首以上で切断した場合も該当します。

3.まとめ

生命保険は、加入者が亡くなってしまった場合のほか、高度障害状態になった場合にも保険金が支払われます。しかし、高度障害とみなされる要件は複雑で、しかも多数存在しています。

あらかじめ、保険商品において約款で定める高度障害について理解を深めておけば、どのような商品を選ぶべきか、どんなプランを組み合わせるべきか判断しやすくなるでしょう。

世の中には高度障害を始めとした万一のリスクだけでなく、医療や介護、就業不能などのリスクも存在します。さまざまなリスクに備えたい方はフコク生命の総合組立型保険「未来のとびら」で、あなたにちょうどよい保障を組み合わせるのがおすすめです。
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