保険お役立ちコラム
生命保険に加入している人が所定の高度障害状態になると、高度障害保険金が給付される場合があります。しかし、高度障害保険金は被保険者の方が生きたまま受け取る保険金のため、受取りにあたってはいくつか注意点があります。
税金に関することや、高度障害保険金を受け取れないケースについて理解しておくと、受取りもスムーズに進むでしょう。この記事では、高度障害保険金を受け取る際の注意点について解説します。
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本記事の内容は公開日時点の情報となります。法令や情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。
本記事では、一般的な例を記載しています。本記事で言及している保険商品・保障内容等について、当社では取扱いの無い場合がございます。詳細は取扱いのある金融機関にお問合わせください。
請求の手続きを済ませ、高度障害保険金を受け取ったら、金銭面では支えになることでしょう。しかし、高度障害と向き合って生活していくことになりますから、どのような目的で保険金を使うのか明確にしておくことが大切です。
保険金は高度障害と共に生きるためのお金です。自分と家族の今後の生活のために計画的に使うことをおすすめします。
高度障害保険金を有意義に使うためのポイントとしては、できるだけ「高度障害状態になった人が暮らしやすい環境を作る」ことがあげられます。具体的には、以下のような目的で使うのが一般的です。
補装具とは、障がいのある人が日常生活を送るうえで必要な移動・動作を行うため、身体の欠損または損なわれた身体機能を補完・代替する用具のことをいいます。
たとえば、義手や義足・義眼・電動車いすなどが該当します。
補装具の購入費用に関しては、世帯の収入状況によって月額の上限負担額が設けられています。ただし、受傷後まもないタイミングで補装具が必要になった場合など、いったん全額負担するケースもあります。
仮に全額負担したとしても、各種医療保険の窓口で、補装具代金の一部は還付請求をすることができます。しかし、還付の対象にならないものもありますから、まとまったお金があると安心できるでしょう。
高度障害状態になってしまうと、障がいのある本人はもちろん、家族にも日常生活に支障が生じることが予想されます。たとえば、健常者にとって何の問題もない段差が、障がいをもつ人にとっては大きな支障になるかもしれません。家族の介護が必要なのであれば、設備を用意する必要があります。
段差をなくす、スロープをつける、風呂やトイレを介護仕様にするといったリフォーム代にするのもよいでしょう。
高度障害状態になってしまった人の中には、将来にわたり常時介護を必要とするわけではなく、自力で生活ができる人もいます。そのような人が、障がいを悪化させることなく新しい生活になじめるようにするためには、リハビリを継続して行うことも重要です。
手厚いリハビリを受けたい場合、自己負担額も高くなる傾向にありますから、高度障害保険金から捻出してもよいでしょう。
また、世帯の収入を主に支えている人が働けなくなった場合にそなえて、障害年金の入金が始まるまで、当座の生活費に充てるという選択肢もあります。いずれにせよ、今後の生活のために保険金を大切に使いたいところです。
生命保険に加入している人が亡くなり、家族が死亡保険金を受け取った場合、被保険者・保険料の負担者・受取人の関係性によって、所得税・相続税・贈与税のいずれかが発生します。それでは、高度障害保険金に関しては、何らかの税金が発生するのでしょうか。
結論からいうと、高度障害保険金を受け取ったタイミングでは課税されませんが、後々になって課税される可能性があります。以下、高度障害保険金の税金に関する注意点について解説します。
税法上、身体の障がいを原因とした給付は、所得税が非課税になると定められています。よって、高度障害保険金を受け取った段階では、保険金に対して税金は発生しません。
障がいを負った被保険者本人だけでなく、配偶者・直系血族・同一生計の親族が高度障害保険金を受け取った場合にも、所得税は発生しません。直系血族には、父母や祖父母・子や孫など、被保険者を中心に直接さかのぼる、またはくだる親族が該当します。
また、同一生計の親族とは、同じ財布から生活費を共有している家族のことを指します。同居・別居の実態は関係なく、親子間以外の親族でも該当する場合があります。
そのほかの注意点としては、契約者と受取人が異なる場合であっても、障がい・病気など死亡をともなわない保険金は贈与にあたらない点があげられます。このようなケースの場合、贈与税も発生しません。
高度障害保険金の受取人が、その保険金を生きている間に使い切らなかった場合、残った金額には相続税が発生します。残った高度障害保険金には、死亡保険金の非課税限度額(500万円×法定相続人の数)がないため、すべて相続税の対象となります。
被保険者が高度障害状態になってしまった場合でも、残念ながら高度障害保険金が受け取れないケースはいくつか存在します。以下、主なものをご紹介します。
責任開始日とは、生命保険会社が契約上の責任を開始する日のことをいいます。この責任開始日の前にかかっていた病気、あるいは事故によって高度障害状態となった場合は、保険金が支払われません。
ただし、責任開始日の前にすでに生じていた障害状態に、責任開始日以後の病気・ケガを原因とする障害状態が新たに加わって高度障害状態に該当したときは、責任開始日より前、または後の各障がいの原因となった病気やケガに因果関係がなければ、高度障害保険金が受け取れる可能性があります。
高度障害保険金が支払われる要件のひとつとして「回復の見込みがないこと」が挙げられます。たとえば、両目の視力をまったく永久に失った状態とは、両目ともに矯正視力が0.02以下となり、回復の見込みがないケースが該当します。
しかし、仮に手術や投薬などで症状が改善する可能性があると、保険金が支払われないことになります。多少なりとも回復の可能性がある場合は、重度障害として区別される場合があります。
生命保険における故意とは「ある行為をした際、万一の事態やケガが発生すると分かっていること」をいいます。故意によって高度障害状態になった場合は、保険金の支払対象外となります。
たとえば、被保険者が自分で自分を傷つけたり、自ら命を絶ったりするような場合は、高度障害状態になっても保険金は支払われません。契約者が意図的に被保険者を傷つけたり、自殺をそそのかしたりした場合も同様です。
保険に加入する際は、現在の健康状態や職業・過去の病歴・身体の障害状態などについて、被保険者は正確に告知しなければなりません。これを「告知義務」と呼んでいます。
故意または重大な過失により、自らの健康状態・過去の傷病歴に関して事実と異なった告知を行ったり、事実を告知しなかったりした場合は、保険金の支払いが拒否されることがあります。告知義務は必ず守りましょう。
高度障害保険金は、受取人だけでなく、家族にとっても重要なお金です。ご契約時に受け取り方法も確認しておきましょう。
しかし、受け取るという選択肢がすべてではなく、税金の都合を考慮して「あえて受け取らない」選択肢もあります。
万一は突然訪れるものです。ご自身と家族の将来を考え、元気なうちに保険の見直しをしておくのをおすすめします。
2025年04月28日
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