保険お役立ちコラム
高度障害と身体障害は、どちらも似たような名称に見えますが、それぞれ異なる状態を指している言葉です。加入している保険によっては、身体障害であっても高度障害保険金が受け取れないこともあります。
この記事では、高度障害と身体障害の違いに触れつつ、どんな場合に保険金が受け取れるのかについても解説します。
目次
本記事の内容は公開日時点の情報となります。法令や情報などは更新されていることもありますので、最新情報を確かめていただくようお願いいたします。
本記事では、一般的な例を記載しています。本記事で言及している保険商品・保障内容等について、当社では取扱いの無い場合がございます。詳細は取扱いのある金融機関にお問合わせください。
高度障害は、広い意味では身体障害に含まれますが、厳密にはその意味合いが異なります。
以下、高度障害・身体障害とは何か、それぞれの状態について解説します。
身体障害とは、身体機能に何らかの障がいがあることをいいます。具体的な障がいの範囲・程度に関しては、身体障害者福祉法によって規定されています。
障がいの種類に応じて、身体障害の程度は7等級に分類されており、最重度の1級から軽度の6級までが身体障害者手帳の交付対象となります。なお、7級の障がいに関しては、2つ以上重複している場合のみ交付対象となる点に注意が必要です。
一口に身体障害といってもさまざまな種類があり、身体障害者福祉法では以下の5種類に分類されます。
視覚障害とは、視力や視野に何らかの障がいがあり、日常生活に支障がある状態をいいます。障がいの度合いとしては、視機能が弱い「弱視」と、視機能が全くない「全盲」の2種類に分けられます。
身体障害者福祉法に規定されている視覚障害は、矯正視力の値と視野の程度によって1級から6級に分類され、もっとも重度の場合は1級となります。
聴覚障害とは、周囲の音や話し言葉が聞こえにくい、またはほとんど聞こえない状態をいいます。聴覚障がい者は、コミュニケーション手段によって「ろう者(手話など)」と「難聴者(補聴器など)」に分類され、後天的に聴力を失った人は「中途失聴者」といわれることもあります。
平衡機能障害とは、めまいや耳鳴り・吐き気など、末梢神経・中枢神経の障がいが原因で、歩いたり立ち続けたりすることがむずかしい状態をいいます。身体障害者福祉法の規定では、聴覚障害の程度は2・3・4・6級に、平衡機能障害の程度は3・5級の2つに分類されます。
何らかの理由で音声を発することができない状態は音声障害、失語症など言語機能そのものを喪失している状態は言語障害、食べ物をよくかんで食べることができない状態はそしゃく機能障害に分類されます。
身体障害者福祉法の規定では、音声・言語・そしゃく機能障害の程度は3・4級の2つに分類されます。
内部障害とは、内臓の機能に何らかの障がいが生じることで、日常生活が著しく制限される状態をいいます。具体的な臓器としては、心臓・腎臓・肝臓・直腸・小腸・呼吸器・膀胱(ぼうこう)などがあげられます。
このほか、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)による免疫機能障がいも、内部障害に含まれます。身体障害者福祉法の規定において等級は、HIVによる免疫機能障がい・肝臓機能障がいは1~4級、それ以外は1・3・4級に分類されます。
身体障害は、等級が7つに分かれており、条件も詳細に定められています。身体機能に一定のレベルで障がいが生じていて、各級の身体障害認定基準を満たしていれば、身体障害者手帳が交付されます。
しかし、高度障害と認められるには、基本的に保険商品の約款によって定められた条件を満たしていなければなりません。身体障害に比べると要件もシビアです。
身体障害の認定基準は、都道府県によって異なります。各県で認定基準に違いがあるため、仮にA県では身体障害者手帳を取得できなくても、B県では取得できる可能性があります。
また、医療技術やリハビリの進歩によって障がいの程度が軽くなり、等級に変更が生じるケースもあります。もし、将来的に障がいが回復していれば、身体障害者手帳を返還しなければなりません。
これに対して高度障害は、保険会社が約款で要件を定めていて、基本的に「回復の見込みがない」状態だけが該当します。そのため、高度障害として認定されるかどうかは、保険会社側の判断にゆだねられます。
仮に、身体障害者福祉法における「身体障害等級1級」に該当していたとしても、約款で定めている高度障害状態に該当しなければ、高度障害保険金は受け取れません。身体障害の認定基準と、高度障害の認定基準は、別物と考えてよいでしょう。
病気や事故で身体障害状態となった場合に、保険金が支払われる保険の種類としては、身体障害保障保険があげられます。たとえば、身体障害者福祉法の身体障害状態に該当し、所定の等級(1~3級など)の身体障害者手帳を交付された場合に、一時金を受け取れるものがあります。
これに対して、高度障害状態となった場合に保険金が支払われる保険の種類としては、以下のようなものがあげられます。
契約期間に定めのある掛け捨て型の保険で、契約期間内に死亡または高度障害状態となった場合に保険金が支払われます。
保険期間の定めがない、一生涯にわたり保障が続く保険です。
万一のことがあったタイミングにかかわらず、死亡保険金・高度障害保険金が支払われます。
被保険者に万一のことがあった場合に、遺族に年金形式・一時金で保険金が支払われる掛け捨て型の保険です。こちらも、被保険者が死亡または高度障害状態になった場合が対象となります。
保険期間内に死亡した際には死亡保険金が、満期まで生存していた場合は満期保険金が支払われる保険のことです。
高度障害となった場合は、高度障害保険金を受け取ることもできます。
ある日突然、高度障害状態になってしまったり、身体に障害を抱えてしまったりする可能性は誰にでもあります。「もしも」のときにそなえて、できるかぎりの準備をしておくと安心です。
事故や災害は突然起こるため、回避するための準備には限界があります。普段から車を運転する機会が多い・肉体労働であるなど、事故や災害に遭遇する可能性が高いことを自覚している人は、身体障害保障保険への加入を検討するのも一手です。
病気を予防する観点からは、週に3回は運動するなど体を動かす機会を設けたり、定期的に健康診断を受けて体調を把握したりすることが大切です。
万一、入院してしまった場合にそなえて、医療保険にも加入しておきましょう。
2025年04月28日
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