保険お役立ちコラム
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介護保障保険と介護終身保険は、いずれも介護費用を保障する保険です。
しかし、保障期間などの違いがあり、加入を検討するには、双方の違いをよく理解しておくことが大切です。
この記事では保障期間の違いや、それぞれのメリット、必要な人についてわかりやすく解説します。この記事で出てくる「介護保障保険」は定期タイプのもの、「介護終身保険」は終身タイプのものを主にさしますが、保証期間は保険会社・商品によって違いますので、詳しくは保険会社に問い合わせください。
人生100年時代が提唱されている現代では、長生きすることは良い面がある一方で、長生きすることで老後のための資金が足りなくなるリスクも考えておかなければなりません。
長生きするほど介護を必要とする可能性も高くなると予想されるため、将来に備えて介護保険への加入を検討する人も多いです。
それでは、具体的に定期タイプの介護保障保険・終身タイプの介護終身保険の特徴を見ていきましょう。
介護保障保険とは、寝たきり・認知症など、所定の要介護状態に該当したときに保険金が支払われる保険のことです。
保険金は、一時金として支払われるものや、毎年一定金額の年金を受け取れるものなどがあります。
年金形式で受け取れるタイプの場合、一般的な内容では、一度給付要件を満たしたら10年など所定の期間、継続して年金を受け取れる仕組みとなっています。
介護終身保険は、基本的な支払要件は介護保障保険と同じですが、一生涯保障が続くという保障期間に違いがあります。
支要件を満たした段階で年金の受け取りがスタートし、そのあとは毎年の年金支払時に支要件を満たしている限り、亡くなるまで年金を受け取れる商品や、所定の期間、年金を受け取れるもの、また支払要件を満たした後は、継続して支払要件に該当しているかを問わず、所定の期間年金を受け取れるものがあります。
将来的な介護の費用負担を減らす観点から、親の介護にそなえて加入するタイプの保険商品もあり、万一保険に加入している人が死亡してしまった場合は、死亡給付金が支払われるものもあるなど、「介護保険」といってもさまざまな種類があります。
ちなみに「介護保障保険」は生命保険会社が取り扱う介護保険ですが、「介護補償保険」は損害保険会社が取り扱う介護保険のことです。
介護保障保険・介護終身保険の保険金が支払われる要件は、保険会社・保険商品によって異なる部分はありますが、大まかに共通するルールがあるので見ていきましょう。
介護保障保険のなかには、公的介護保険に連動して受け取れるケースもあります。
例えば、給付条件が「公的介護保険制度の要介護2以上と認定されたとき」など、要介護認定に応じて保険金が支払われるというものです。
「寝返り」または「歩行」ができない状態、もしくは「寝たきり状態」でかつ以下のうち2項目以上を自力ではできないと判断されたときに介護保険が支払われます。
例えば、以下のようなものが判断材料となります。
食物の摂取
入浴
衣服の着脱
大小便の排泄後の拭き取り始末
介護保障保険・介護終身保険は民間の介護保険で、公的保険が存在しているため、あまり必要性を感じていない人も多いのではないでしょうか。
そこで、民間の介護保険に加入する必要性や、加入する際のメリット・注意点について解説していきます。
介護保障保険・介護終身保険に加入する大きな目的は、公的保険での不足を補うことです。
公的介護保険の給付を受けることにより、介護サービスにかかる費用負担は1~3割に軽減されますが、介護費用は長期間に渡って継続的に発生することを理解しておく必要があります。
令和3年度生命保険に関する全国実態調査(生命保険文化センター)によると、公的介護保険を活用しても、介護にかかる平均額は月83,000円、介護期間は平均5年1ヵ月となっているので、およそ500万円かかる計算になります。
公的介護保険を利用すれば、所得金額に応じて1~3割が自己負担となっておりますが、無制限にサービスを受けられるわけではなく、要介護度に応じた上限額が設定されており、上限額を超えた介護サービスに関しては全額自己負担となります。
また、要介護状態に該当した場合は、家のリフォーム費用、介護用に必要な物品の購入費など、公的保障があったとしても大きな出費になるケースが多く、一括で保険金が受け取れる介護保障保険は大きな助けになるでしょう。
そのため、保険加入者が要介護状態になったときに備えて、民間介護保険に加入することで不足分を補うことができます。
介護保障保険・介護終身保険に加入することで、収入や貯蓄などの資産だけで介護費用をカバーできない場合にそなえられます。
ほかにも、介護状態になってしまった際に、面倒を見てくれる家族がいない人、できるだけ家族に負担をかけたくない人は、介護のための費用に充てることができ、安心です。
また、公的介護保険の被保険者は40歳以上の方ですが、65歳以上と64歳以下では受給条件が違うため、64歳以下で要介護状態になった場合は、公的介護保険が利用できない可能性があります。65歳以上の方の受給要件は要介護状態もしくは要支援状態ですが、40歳以上64歳までの方は要介護(要支援)状態が、老化に起因する疾病(特定疾病)による場合に限定されているのです。(※1)
加えて若いうちから介護が必要になった場合は、介護期間が長期化する恐れもあります。このような場合は、金銭面での保障がより大きな助けとなるでしょう。
ただ言い換えれば、自分自身で介護費用がカバーできるだけの貯蓄がある場合は、あえて介護保障保険に加入する必要性は薄いと言えます。
※1:厚生労働省「介護保険制度について」
介護保障保険は、一定の期間・所定の要介護状態が継続しなければ、保険金が支払われない点は理解しておかなければなりません。
例えば、フコク生命の「介護保障特約」の場合、公的介護保険制度の要介護2以上と認定されたときや、認知症・寝たきりで所定の要介護状態が継続したときにも保険金支払いの対象となります。
フコク生命の「介護保障特約」で、認知症が条件で介護保障特約の支払い対象となるには、所定の認知症による要介護状態に該当し、その要介護状態が該当した日からその日を含めて「90日間」継続していることが条件となります。
また所定の寝たきり状態では、その要介護状態が該当した日からその日を含めて「180日間」継続したことが条件です。
介護保障保険・介護終身保険のうちどちらを選ぶかを考えるときのポイントは、有期型と終身型の保険という保障期間の違いです。
そこで、介護保険のうち、どちらを選んだ方がよいのかについて、検討する際のポイントを解説します。
介護保障保険の場合、10年などの一定期間、または60歳・80歳など一定年齢で縛りがあり、その期間に支払要件を満たした場合に、一時金・年金として受け取れることができます。
介護保障保険は一定期間の保障となるので、年齢が若いうちに加入すれば、比較的安い保険料で老後に備えることが可能です。
ただし、保険期間が満了したあとは要介護状態などに該当しても保険金として受け取ることはできず、定期的に保障を更新する必要がある点や、年齢によっては保険へ加入ができない場合があるため注意が必要です。
つまり、どちらの介護保障保険がいいか迷ったときには、80歳までの保障など一定の年齢までは保障があり、それ以降は貯蓄で備えられる人には介護保障保険、保険で介護保障を一生涯残したい場合は介護終身保険を選ぶのがおすすめと言えます。
介護終身保険の場合、期間の定めがなく一生涯保障を受けられるのが最大のメリットです。
つまり、支払要件を満たせばいつでも一時金・年金が受け取れるので、自分の身の回りに、自分や家族の介護を頼めない場合は、介護終身保険を選んだ方が安心と言えるでしょう。
ただし、年齢を重ねるほど保険料は高くなるため、支払える保険料とのバランスに注意する必要があります。
令和6年度高齢社会白書によると、介護保険制度における「要介護」または「要支援」の認定を受けた人は、2021年度末で67.6万人となっており、2011年度末の51.5万人から16.1万人増加しています。
少子高齢化が進む日本では、今後も要介護・要支援認定を受ける人は増えていくものと予想されるでしょう。
介護保障保険・介護終身保険は、介護に伴う金銭的な負担を軽減するために検討すべき大切な保険です。
長生きするほど介護が必要になるリスクは高まるため、万一に備えて介護保険を検討しておくことをおすすめします。
2025年06月11日
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