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サイボウズ株式会社 地域クラウドプロデューサー永岡 恵美子さん


東京支社お客さまアドバイザー・教育トレーナー

一歩動けば何かが生まれる。
ちいクラは、きっかけの場所。

地域クラウド交流会(以下、ちいクラ)は、地域住民が起業家の活動を応援し、地域活性化を目指す交流会形式のクラウドファンディング(※注1)。100名以上の参加者が集まるリアルな"場"が舞台です。会場では地域の起業家(プレゼンター)数名がプレゼンし、参加者は「応援したい!」と思ったプレゼンターに投票。集まった投票数に応じて起業への支援を受けられる仕組みです。2015年1月に千葉市でスタートしたちいクラは全国に広がり、すでに149回も実施されています(2019年12月現在)。
今回、東京支社のお客さまアドバイザーが「江戸川区ちいクラ」に参加したきっかけは、他支社のお客さまアドバイザーが北海道の「千歳ちいクラ」で地域とのかかわりを深めていることを知ったため。そして、ちいクラが自分たちの働く地域でも開催されていると知り、地域とのつながり作りのヒントになればと参加を決めました。
共感、つながり、支えあいという意味を込めた「THE MUTUAL」というコンセプトのもと、100周年プロジェクトに取組んでいるフコク生命。今回は、ちいクラ生みの親、サイボウズ株式会社 地域クラウドプロデューサー永岡恵美子さんに、ちいクラに込められた想いや工夫、そしてちいクラで生まれる「THE MUTUAL」についてお話を伺いました。
※注1クラウドファンディングとは、自分の活動や夢に共感した人から、資金を募る仕組み。

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サイボウズ株式会社 地域クラウドプロデューサー 永岡恵美子さん

「顔が見える関係性」を
誰もが役割を持てる場で生み出したい

お客さまアドバイザー(以下、お客さまAD) 永岡さんがちいクラを始められたきっかけについて教えてください。

永岡 一番のきっかけは、東日本大震災後に「街には顔の見える関係が必要だ」という思いが芽生えたことです。私が住んでいる千葉には、有機栽培や無農薬農法に熱心に取り組んで付加価値を付け、消費者に届けている農家さんがたくさんいます。しかし、震災後は彼らの野菜が風評被害によりネット上で売れなくなり、地元で直売するしかない状況に。
 後日、ある農家の方が「あの時、地元の方が野菜を買い続けてくれたから生き残れた」と話してくれたんです。その時改めて、地域の人が集まって顔見知りになれるイベントを開きたいと思いました。

お客さまAD 顔が見える関係性って、いざというときに強いんですね。フコク生命もFace to Faceを大切にしている会社なんです。

永岡 そうだと思います。ネット上の関係だけだと、困っている顔を想像するのも難しいですよね。もう一つの動機は、起業家がたくさんの方に応援される場をつくりたいという想い。さらに、事業を続けるにはお客さまがいないとはじまらない。プレゼンターも参加者も交流して、サービスや商品を買い続けてもらうきっかけになればと思っていました。

お客さまAD いろいろな想いが掛け合わさって、ちいクラが生まれたんですね。もともと、永岡さんご自身は交流会に参加される機会が多かったんですか?

永岡 実は、私自身は交流会が苦手(笑)。でも交流会のメリットは感じていたので、12個の「交流会が嫌な理由」を書き出して、解消できれば実現しようと思ったんです。訳もなく会費が高いのが嫌だったからちいクラの参加費は一律1,000円。また、思い切って参加したのに人が少ないのもがっかりなので、ちいクラは参加者80名以上の募集を条件にしました。

お客さまAD 私は、交流会で居場所がなかったらどうしようと不安になることがあります。現に、ちいクラに参加するのも勇気が要りました(苦笑)。

永岡 その不安は私もよくわかります(苦笑)。でも、役割があればそれが居場所になりますよね。なので、参加者の方には「投票者」という役割があります。ちいクラでは5名のプレゼンターが登壇し、一番応援したいと感じた方に参加者の方が投票します。投票権があると、みなさん真剣にプレゼンを聴かれるんですよ。僅差で優勝が決まると「私の1票であいつが優勝したんだよ」と、どや顔される方もいます(笑)。

お客さまAD そう思えるということは、ちいクラでのひとときを自分事としてくれた証拠ですよね!参加者が楽しめるように、いろんな工夫がされていて驚きます。

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地域の起業家が自身の事業や取り組みについて3分間のプレゼンを行います。

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プレゼンを聞いた後に交流会参加者は自分の一票を、応援したいと思う起業家に投票します。

ちいクラでの出会いが、
誰かの人生の後押しになれば最高

お客さまAD ちいクラで起業家と参加者がつながって実現されたことはありますか?

永岡 めずらしい例でいうと、起業家と大企業とのコラボレーションが生まれたことがあります。「高校生に職業体験をさせたい」という起業家がプレゼンしたときは、プロ野球の球団職員の方が参加されていて、後日スタジアムでの職業体験が実現しました。起業家と参加者が共鳴し合って起業したり、参加者同士が事業を始めたりということもあります。ちいクラはきっかけに満ちた場所。参加という形で一歩踏み出した方の集まりだから何かしら生まれやすいんですよね。

お客さまAD それは素敵ですね。動くから何かが生まれる⋯⋯まさに永岡さんがそうですよね。“場”をつくろうという発想から行動して今がある。憧れますが、実際に“場”をつくるって大変じゃないですか?

永岡 「何のために」という根本が明確であれば、誰でもできますよ。それさえはっきりしていれば、困ったときや迷った時も戻れる場所になります。

お客さまAD ちいクラを通して、永岡さんご自身がうれしいと感じたエピソードはありますか?

永岡 ちいクラでの出会いで人生が変わったと言っていただけたとき、ちいクラに関われてよかったと感謝されるときはやりがいを感じるし、うれしいですよね。きっと、お客さまアドバイザーのみなさんもそうだと思います。

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東京支社のお客さまアドバイザーがちいクラに参加し、地域の方との交流を楽しみました。

「自分は何をしたい?」と問いかけて動けば
キャリアはついてくる

お客さまAD 永岡さんは、大手企業からベンチャー企業、企業家支援施設までさまざまな職場で働かれていますが、社会で女性が活躍する秘訣はなんだと思われますか?

永岡 「今、自分は何をしたい?何をしていると幸せ?」と問いかけて、それに集中することだと思います。ワクワクできればパフォーマンスも上がって評価もされるし、結果早く昇進できるといった展開につながると思います。あとは、せっかくだから楽しもう!というマインドで働くことは大事にしていますね。私、通勤中もせめて楽しくいたいからスキップして会社行ってますよ(笑)。
ただ、責任感がつよい女性にありがちなのですが、逆に、「~~しなくちゃいけない」と思い詰めるとつらくなりますね。

お客さまAD 確かに、「マネージャーになりたい、所長になりたい」といった具体的な目標を掲げているお客さまADもいますが、達成しなくてはという義務感に苦しんでいるケースもあるような気がします。私たちは「女性の活躍を」といった世論を意識しすぎなのかもしれないですね。もっと柔軟に、私のやりたいことって何だろうと考えられればいいですよね。

永岡 やりたかったはずなのに嫌だなと思うことがあったら「この中で何が嫌なんだろう」と分解するといいと思います。嫌な部分だけを取り去れば、最高の事業に変えられるチャンスです。この事務作業だけが嫌だなと思えば、これだけなくせないかとか、ここだけ誰かに頼めないかと考える。自分がやりたくて手がけた仕事は出来栄えが変わってきますしね。

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共感、つながり、支えあい
「THE MUTUAL」の時代がくる

お客さまAD 永岡さんは今後、地域のつながりがどうなればいいとお考えですか?

永岡 ちいクラのような場を通して「見たことある、聞いたことある」くらいのゆるやかな関係が網目のようにつながっていけば理想的ですね。そのために、ちいクラのオーガナイザー(主催者)研修は、網目の起点になれる地域のリーダー的存在を育てたいという気持ちで開いています。リーダーの持つべき力として重視しているのは「巻き込み力」ですね。

お客さまAD 巻き込むって難しくないですか? 人の人生に介入してしまう感じで⋯⋯。

永岡 私自身はちいクラの力を信じているから誘いますが、来る来ないの選択権はお相手にある。保険も、商品を信じているからおすすめできますが、入るか入らないかはお客さまの自由。お相手の選択にまで責任を感じると身動きできなくなります(苦笑)。

お客さまAD 確かにそうですね。なんだか、インタビューなのに仕事に臨む姿勢を学べた気がします(笑)。
では、最後の質問になります。当社は、創業当初から相互扶助を大切にしてきた会社として「人と人とのつながり」について改めて考えているところなんです。永岡さんは「人と人とのつながり」が今後どうあるべきだと思われますか?

永岡 私がちいクラをはじめた頃から感じていたのは「もう闘う時代は終わりだ」ということ。闘った結果、最後の一社が総取り⋯⋯そんな未来ではなく、みんなが助け合い、みんなが少しずつ勝って、応援しあえる未来にしたいというコンセプトを掲げました。つまり相互扶助ですよね。ここでは自分が応援して、別の場面では応援される。そういう人同士のつながりが生まれていくといいなと思います。

お客さまAD 今まで私は、人とのつながりをつくる場面で一歩踏み込むのが苦手でした。永岡さんのお話を伺って、相手の人となりを知ろうとすれば、お互いにどんな場面で支えあえるのかが見えてくる気がしました。

永岡 まさに、ちいクラはそういった支え合いのきっかけになる交流会だと思います。ちいクラをフコク生命さんの全国の支社で開いてもらえたらうれしいです。地域というキーワードがあると、フコク生命のお客さまもそうでない方も招きやすいと思いますよ。

地域クラウド交流会「ちいクラ」

地域クラウド交流会は、地域住民が起業家の応援を通して、地域活性化を目指す交流会形式のイベントです。起業家だけでなく、地域の人たちが参加することで、地域全体のビジネスの活性化につながることを目的としています。

https://chiiki-cloud.qloba.com

東京支社 お客さまアドバイザー・教育トレーナー

編集後記

東京支社 お客さまアドバイザー・教育トレーナー

今回、永岡さんへのインタビューで印象的だったのは、キャリアに対する柔軟な考え方。仕事により楽しく取り組むためにも、まずは自分に、「何をしたい?何をしていると幸せ?」と問いかけてみたいです。
ちいクラでは、自然な形で多くの参加者の方と情報交換ができました。登壇する起業家(プレゼンター)は、みなさん地域で活動されています。5名の方のプレゼンを聴くだけで地域の魅力を知るきっかけになりますし、会場ではまさに「顔見知り」の関係ができたので、これから地域の方との交流が楽しくなりそうです。
フコク生命として、個人として、そして「地域」とどう関わっていくか。保険や家計にまつわるお悩みを持つ地域の方々の相談にのる、そんな「ゆるやかな関係性」を大切に、地域をサポートできたらと思っています。

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