人と人のつながりで
特殊詐欺から地域を守る
今なお被害者が後を絶たない「特殊詐欺」。全国で多発する電話を使った「振り込め詐欺」などの被害を抑えるために、京都府警察本部は懸命に対策を講じています。そんな対策の一つが「特殊詐欺被害抑止モデル事業所」の指定です。京都府警から指定された「特殊詐欺被害抑止モデル事業所」は、警察と連携して振り込め詐欺防止につながる活動を行っています。
2019年1月、フコク生命京都支社は金融機関として初めて「特殊詐欺被害抑止モデル事業所」の指定を受けました。京都支社のお客さまアドバイザーたちが地元のお客さまと顔の見える関係を長年築いてきたことから、特殊詐欺についての正確な情報を伝え、注意をうながせる身近な存在として被害防止に努めています。
さらに今回、京都支社のお客さまアドバイザーが特殊詐欺被害防止活動を行うなかで、新聞記事を通して知ったのが、京都府福知山警察署のユニークな特殊詐欺被害防止啓発活動である「特殊詐欺に"だまされ米"」という取り組みです。その記事は、お年寄りらを狙う特殊詐欺被害を防止しようと、福知山署の4名の駐在所員が、地元の農家の方と協力して収穫した新米を、「特殊詐欺に"だまされ米"」と名付け、地元の高校生がデザインしたラベル付の小袋に入れて地域のお祭りで来場者に配ることで、特殊詐欺被害を防止しようというものでした。警察官と地元の人の協力で実現した、一風変わったストーリーに興味が湧き、この企画に携わった福知山署駐在所員の方、京都府立大江高等学校の生徒さんにお話を伺いました。フコク生命の原点である"相互扶助"そして、次代の"相互扶助"である「THE MUTUAL」について考えるヒントが、ここにもありそうです。
地域との密なつながりが生み出した
「特殊詐欺に“だまされ米”」
お客さまアドバイザー(以下、お客さまAD) 今回は、特殊詐欺防止のためにつくられた「特殊詐欺に“だまされ米”」(以下、だまされ米)についてお話を伺いに来ました。どのようなきっかけで、お米を使っての啓発活動を企画されたのですか?
福知山警察署駐在所員(以下、所員) 特殊詐欺が福知山市内でも発生し「なんとか防止しなくては」という思いを持っていた大江町の駐在所員4名が集まって企画しました。大江町には棚田で米作りをしている農家さんがいて、“だまされまい”の「まい」に「米」をかけることで記憶に残るし被害防止を啓発できるんじゃないかと相談し合ったのがきっかけです。
お客さまAD 「だまされ米」に協力くださった方々とは、もともとつながりがあったのでしょうか。
所員 駐在所員はその地で暮らしながら日々パトロールしているので地域との関係が密になっていきます。その関係性を頼りに「だまされ米」のアイデアを農家の方にお話し、田植えから参加させていただけないかとご相談しました。また、「だまされ米」のラベルデザインを担当してくれた大江高校の生徒さんたちとは、巡回を通して顔見知りの関係でした。毎年のようにうちわや帽子、ステッカーやポスターのデザインをしていただいていて、感謝してもしきれないです。
お客さまAD 地域との関係が密だからこそ実現した啓発活動なんですね。振り込め詐欺などの犯罪を減らすために必要なことってなんでしょうか。
所員 啓発活動を続けることですね。特殊詐欺について自分ごとに考えてもらうことが大切なので、「だまされ米」のような取り組みが毎年できるかはわかりませんが、これからもインパクトある活動ができたらいいですね。その時も、ぜひ地元の方や大江高校の生徒さんにご協力いただけたらうれしいです。地域一体となって活動したいです。
お客さまAD 地域の見守り役として、駐在所員の方とお客さまアドバイザーには共通点があるように感じます。安全な地域づくりのために協力し合えることがあればうれしいです。
所員 ぜひ、よろしくお願いします。困ったら相談できる信頼関係の構築こそが、警察の役割だと思います。これからも、地域のお祭りなどにも参加し、顔を知っていただくように努めていきたいですね。
大江高校の生徒たちがデザインした特殊詐欺防止グッズ
デザインで安心できる地域をつくり
デザインで地域とつながる地元高校生
続いて訪れたのが京都府立大江高等学校。「だまされ米」のラベルデザインに携わった、ビジネス科学科の3名の生徒さんにお話を伺いました。
お客さまAD 「だまされ米」それぞれのラベルに、どのような考えや思いが込められていますか?
生徒 地元の方が特殊詐欺にだまされないように、という思いでつくりました。特殊詐欺についても自ら調べ、詐欺の危険性を伝えることはもちろん、「鳥獣戯画」をもとにしたり、少しでも目を留めてもらえるようユーモアのあるデザインにしました。あとは、シンプルで年配の方に伝わりやすくしようと心がけました。
お客さまAD みなさんの地元の方への思いが表現された素敵なデザインだと思います。苦労されたことはありましたか?
生徒 「だまされ米」は年配の方向けなので、字の大きさ、見やすい色合い、伝わりやすいイラストを考えるのが少し大変でした。
お客さまAD だまされ米のラベルデザインは、どのようなきっかけで実現されたのですか?
生徒 これまでも、福知山署や市役所からデザインのお話をいただくことがあって連携してきました。地元の高校生としてできることがあればと思い、協力しました。自分が描いた絵が形になったことが素直にうれしかったです。
お客さまAD もともとみなさんはデザインや絵を描くことがお好きだったんですか?
生徒 そうですね。具体的ではないですが、将来的にデザイン関係の仕事をしたいという思いがあります。私たちはビジネス科学科でデザインを専攻していますが、来年からは「地域創生科」へ改編されます。カリキュラムは大きくは変わらないのですが、地域とのつながりがさらに深まると思います。
先生 大江町には「地元の子どもたちは地元全体で育てる」という意識があり、郷土愛は強い方だと思います。地域の中で、デザインなど生徒の能力を活かせるつながりが生まれ、いい流れができてきたなと思います。
「だまされ米」以外にも、地元の障がい者の就労支援施設が手作りするアイスクリームがあって、百貨店の贈答品向けパッケージのデザインを3年前から大江高校の生徒が手がけています。
お客さまAD 素晴らしいですね! デザインでの地域交流はまさに「THE MUTUAL」だと思います。デザインで地域と交流する中で、思い出に残っていることはありますか?
生徒 警察署からの依頼で、振り込め詐欺被害防止の「啓発うちわ」をデザインしたことがあります。お年寄りに直接うちわを渡したときに「気をつけるわぁ」と笑顔を見せてくださったことは今でも覚えています。これまでなかなか地域の方と話す機会がなかったので、この先にもきっとつながるなと感じました。
お客さまAD みなさんが「人とのつながりに求めるもの」「人と心地よい関係を構築する上で、心がけていること」をお聞かせください。
生徒 相手の話をしっかり聞いて自分の思いも伝え、お互いを気遣うことが大切なんじゃないかと感じます。また、自分の考えや思いを託したデザインが誰かの役に立てていたら、それが人と人とのつながりを生み出している気がして、温かい気持ちになります。
お客さまAD 当社の原点である「相互扶助」に共通した言葉を若いみなさんから伺えて、素晴らしいなと思いました。社会で生きていく中で、この先も「相互扶助」がますます大切になってくると思います。
「特殊詐欺に"だまされ米"」のラベルデザインをしたビジネス科学科の生徒たち
家族との会話や身近な人の声かけで
特殊詐欺は防止できる
最後に、福知山署の「だまされ米」を取材するきっかけになった京都府警本部を訪れ、特殊詐欺被害防止対策について詳しくお話を伺いました。
お客さまAD 京都支社のお客さまアドバイザーは、研修を受講し「振り込め詐欺被害防止アドバイザー」として活動に協力しています。京都府警が「振り込め詐欺被害防止アドバイザー」に期待されていることをお聞かせください。
京都府警 「振り込め詐欺被害防止アドバイザー」の方には、京都府警で集めた特殊詐欺の情報を共有し、お客さま訪問時に伝えていただいています。また、前ぶれもなく生命保険の解約を申し出るお客さまは、多額の特殊詐欺に巻き込まれている可能性が高い。そんな現場の情報を共有いただき、未然防止に力を注いでいただきたいです。
お客さまAD 京都府警で行われている特殊詐欺被害防止対策について教えてください。
京都府警 さまざまありますが、その中の一つが「家族を守っTelの日」という啓発活動の普及です。こちらは、公的年金支給日をひとつの目安に、離れて暮らす家族同士でコミュニケーションをとっていただき、特殊詐欺を未然に防いでいく施策です。詐欺の電話があってもだまされなかった方は、日ごろから家族とよく話しているという傾向から考案されました。
お客さまAD 人と人とのつながりは、特殊詐欺被害防止にも大きな効果があるということですね。では、人と人とのつながりが豊かな社会をつくるために、警察としてどのような役割を果たしていきたいとお考えですか?
京都府警 市民、そして企業や学校などさまざまな団体のハブとなって、安心安全な暮らしを提供することが警察の役割です。警察だけではカバーしきれない部分を、フコク生命のような「振り込め詐欺被害防止アドバイザー」の方々に担っていただけるので大変感謝しています。
お客さまAD ありがとうございます。京都府警、福知山警察署、そして大江高校でのインタビューを通し、人と人とのつながりが特殊詐欺を防ぎ、安心安全な暮らしを守っていることを実感しました。
私たちも、お客さまや地域とのつながりを大切にすることはもちろん、「相互扶助」の関係を日ごろ離れて暮らす家族とも築いていきたいと思いました。「家族を守っTelの日」は誰でも気軽に始められることなので、まずは実践してみます。
特殊詐欺などの被害の防止に有効な情報を伝える取り組み「家族を守っTelの日」
福知山営業所のお客さまアドバイザーも「家族を守っTelの日」の取り組みに参加しました