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福岡県北九州市シャボン玉石けん株式会社


北九州支社

手肌にやさしい「正しい手洗い」を広め、
人と人とが安心して触れ合える日を手繰り寄せる。

2023年の創業100周年に向け、「THE MUTUAL(ザ・ミューチュアル)-次代の"相互扶助"を考える-」というコンセプトのもと、100周年プロジェクトに取り組んでいます。「THE MUTUAL」とは共感・つながり・支えあいをベースとした次の100年に向け進化する次代の相互扶助のことです。

今回、北九州支社の職員が訪問したのは「シャボン玉石けん株式会社」。同社は、長年にわたり「人にも環境にもやさしい無添加石けん」をつくり続けており、地元の北九州のみならず全国のファンから厚く支持されています。

新型コロナウイルス感染症の拡大で、人と人との物理的距離をとらなければならなくなった今、同社では、ユニークな方法で「正しい手洗い」という感染予防対策を広めています。握手やハイタッチといった手が触れ合うコミュニケーションを、気兼ねなくすることができる日を手繰り寄せるべく奮闘する同社の想いなどを、森田隼人社長にお聞かせいただきました。

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生産拠点でもある本社へお伺いしました。ここ北九州市から、シャボン玉石けん株式会社は人にも環境にもやさしい無添加石けんを届け続けています。

体にも環境にもやさしい「無添加石けん」。
ぶれずに届け続けることが使命。

職員 先代社長(森田社長の父、光德氏)が合成洗剤から無添加石けんの製造・販売に切り替えることを決断されたと伺いました。その理由について教えていただけますか?

森田社長(以下 森田) 父は、合成洗剤の製造・販売を1961年から始めます。その頃から父は、原因不明の赤い湿疹に悩まされていました。ある時、無添加石けんの製造依頼を受けます。試行錯誤の末にようやく完成した試作品で、体を洗い、洗濯にも使って数日後、湿疹がなくなっていました。その後、再び自社の合成洗剤に戻すと、またすぐ湿疹の症状に。長年悩まされていた湿疹の原因が、自社の主な商品である合成洗剤だと気づき、大きなショックを受けます。「体に悪いと分かったものを売るわけにはいかない」と一大決心をして、無添加石けんの製造・販売に舵を切ったのです。ところが、原料にこだわり、手間暇かけて製造した無添加石けんは、合成洗剤に比べ割高となり、誰からも見向きもされません。それまで8,000万円ほどあった月商は、無添加石けんに切り替えた翌月にはたった78万円と1%にも満たず、100名いた社員も、一番少ない時はわずか5名にまで減少するという苦境に陥りました。それでも「無添加石けんを求める人がいる限り、届けるのが私の仕事だ」という強い使命感で、父は事業を続けます。無添加石けんの良さを知ってもらえれば選ばれると信じて、17年もの間、赤字に耐えてきましたが、その良さを伝えるための広告宣伝費もありません。そんな中、苦肉の策で執筆したのが『自然流「せっけん」読本』という本です。その本が異例のベストセラーになり、これを契機に18年目にしてようやく黒字に回復します。おかげさまで全国のお客さまに無添加石けんを選んでいただけるようになり、2020年には創業110周年を迎えることができました。

職員 創業110周年おめでとうございます。毎日使う石けんや洗剤を、安心して使えるのはすごく素敵なことですね。

森田 ありがとうございます。お肌が荒れていると、気持ちも落ち込みますよね。
当社の理念は「健康な体ときれいな水を守る」です。無添加石けんは体にも環境にもやさしく、自信を持ってお届けできます。お客さまからも、「子どもがアトピー肌を掻きむしる姿が可哀想でなりませんでしたが、無添加石けんのおかげでアトピー肌に悩むこともなくなりました。ありがとうございます」といった喜びの言葉をいただいております。わたしたちの無添加石けんを必要とされているお客さまのために、これからもぶれずに理念を守り続けていきたいです。

職員 「ぶれずに」というのが素晴らしいですね。これからも、御社の製品を使い続けていきます。

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北九州支社では「シャボン玉浴用」を購入させていただきました。フコク生命からも、体にも環境にもやさしい無添加石けんを広めていきたいと思います。

「正しい手洗い」を楽しく覚えてほしい。
想いのこもった「手あらいうた」と「手あらいダンス」

職員 「シャボンちゃんの手あらいうた」、そして森田社長もご出演されている「手あらいダンス」の動画を拝見しました。こちらの歌とダンスが生まれた背景や想い、歌とダンスを活用した現在の取組みについてお聞かせください。

森田 少し前の話になりますが、2009年に「手洗いを中心とした感染症予防」を多くの方にお伝えしたいと考え、「感染症対策研究センター」を設立しました。研究を重ね、多数の有識者にも協力いただいて開発したのが「バブルガード」というハンドソープです。しかし、「バブルガード」を使っていただいたとしても、間違った手洗いでは感染症予防にならない。感染症予防には「正しい手洗い」を知ってもらうことが必要だと考え、2016年に制作したのが「シャボンちゃんの手あらいうた」でした。手前味噌ですが、親しみやすくキャッチーなメロディーの歌になり、幼稚園や保育園、小学校などでも歌ってもらっています。

職員 「手あらいうた」が誕生したのは、新型コロナウイルス感染症の流行前だったのですね。「手あらいダンス」についてはいかがですか?

森田 「手あらいダンス」は、新型コロナウイルス感染症が拡大する中、地元テレビ局から「正しい手洗いを広めたい」と問い合わせをいただいたのがきっかけです。「シャボンちゃんの手あらいうた」を生かした「手あらいダンス」は、学校や企業、スポーツ選手にまで広がり、ダンス動画がどんどんSNSにアップされています。わたしたちの「正しい手洗いを広めて、感染症を予防したい」という想いが、時を超えてつながった出来事でした。

職員 実は「手あらいダンス」を拝見して初めて、自分が「正しい手洗い」を実践できていないことに気付きました。

森田 わたしたちの調査でも、指の先、親指、指の谷間や手首までしっかり洗えている方は少ないというデータが出ています。「手あらいうた」や「手あらいダンス」で「正しい手洗い」を覚えていただけたらうれしいですね。
また、新型コロナウイルス感染症の拡大によって問題になっているのが手肌の乾燥。手洗いとアルコール消毒の機会が急増したことが原因です。水が使える場合は、無添加石けんでの「正しい手洗い」が感染症予防としてもベストですし、手荒れも防げるはずです。

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バブルガードを使って「正しい手洗い」を実践する子ども

感染症予防策「正しい手洗い」を地道に伝え、
オンラインでもお客さまとのつながりを保つ

職員 新型コロナウイルス感染症の拡大で、握手やハイタッチといった「手を触れ合うコミュニケーション」が難しくなりました。この社会的な課題に対して、御社が取り組まれていることをお聞かせください。

森田 ひとつは、さきほどお話しした感染症予防のための「正しい手洗い」を広めていくことです。無添加石けんならこまめに手を洗っていただいても手肌が荒れにくいです。肌を守りながら、手の清潔を保っていただくことが、また安心して会える日に近付くことにつながると信じています。
ただ、お客さまとのつながりを感じにくい現状はつらいです。そこで、今はオンラインでの交流にも力を入れています。「オンライン工場見学」もそのひとつ。稼働する工場内を社員が説明しながら案内し、その映像をリアルタイムで配信しています。チャットで質問を受け付け、お客さまとコミュニケーションを取っています。リアルに勝るものはないかもしれませんが、オンラインならではの良さも感じています。これからもお客さまとのつながりを大切にしていきたいです。

職員 「オンライン工場見学」、素晴らしいですね。スマートフォンがあればどこからでも参加できますしね。

森田 わたしたちの製品を一番知っていただきたい方に、忙しい中でも、自宅などで「ながら見」をしていただけることはメリットだと感じています。遠方の参加者も増えています。
また、会社主催の「オンライン交流会」を実施するなど、社内でもコミュニケーションを深める方法を探っています。

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オンライン工場見学では、環境にも体にもやさしい無添加石けんがどのようにつくられているのか、自宅からリアルタイムで見ることができます。

今まで以上にお互いを想い行動することで、
人と人とのつながりも深まっていく

職員 これから取り組んでいきたいことについてお聞かせください。

森田 引き続き、合成洗剤と無添加石けんの違い、そして無添加石けんの良さを真摯に伝えていきたいです。正しい知識を持つ方が増えてくると、世界は変わります。たとえば、お子さんのいらっしゃる女性が、妊娠中から授乳中だけでも無添加石けんを選び使ってくださる。そんな世界になるように頑張りたいですね。

職員 「じぶんを守る、がみんなを守る。」というコピーが書かれた御社の広告を拝見しました。

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つながれた手を見て、石けんは、やさしく肌を清潔にすることで「人と人とのつながり」をつくりだしているのだと感じました。わたしたちが扱う保険は、人と人とのつながりをつくることで、万が一のときにお互いに助け合う制度です。つながりをつくっているという点で、御社とわたしたちの活動に共通点があるのではと感じました。

森田 まさにそうですね。また、地域に支えられているという共通点もある気がします。

職員 そうですね。わたしたちも地域に支えられているからこそ、広く地域の方のお役に立ちたいという想いがあります。わたしたちの活動を通じて、地域の方に「シャボン玉石けん」の魅力をお伝えできたらと考えています。
当社には0歳から12歳までのお子さまがいらっしゃるパパママを対象に、育児に関する情報提供を行う「フコク赤ちゃん&キッズクラブ」という会員制度があります。こうした会員の方々にも「正しい手洗い」をお伝えし、「手あらいダンス」をさらに広めるお手伝いができたらいいなと思います。

森田 いいですね。アイデアを出し合いながら、フコク生命さんとわたしたちだからできるコラボ企画をしたいですね。

職員 ぜひ、実現しましょう。では、最後の質問をさせてください。フコク生命は2023年11月22日に100周年を迎えます。そこで、わたしたちは「THE MUTUAL-次代の相互扶助を考える-」をコンセプトに、フコク生命に関わるすべての人のつながりを深め、支えあい、真の"相互扶助"を体現する組織を目指しています。
これからの時代、人のつながりかたはどうあるべきか? これからの時代に求められる“支え合い、助け合い”のかたちとは? 人が豊かに暮らしていくために、人と人との関係はどうあるべきだと思われますか。また、ご自身はどうありたいとお考えでしょうか。

森田 ソーシャルディスタンスが叫ばれ、人と人との距離感が広がり、表情も見えづらいという状況が続いています。私自身は、これまで以上にお互いに思いやることが大切だと思います。殺伐としがちな空気をはねのけるような気持ちを込めた接し方を心がけたいと思っています。自分では普通の応対だと思っていても、これまで以上に伝えようという気持ちがないと伝わらないことを実感しています。オンライン会議では表情が乏しくなりがちですが、そこも意識的に気持ちを表現し、お互いに心地よいコミュニケーションがとれるようにしたいですね。コミュニケーションの方法が変わっても、人と人とのつながりは深められると信じています。

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北九州支社

編集後記

北九州支社

取材を終えて、シャボン玉石けんさまのぶれない想いに感銘を受けました。苦境に陥りながらも、お客さまのためにという強いこだわりをぶれずに持ち続けきたからこそ、創業110周年を迎えられたのだと思います。生命保険は、人と人とのつながりや支えあいである相互扶助で成り立っています。シャボン玉石けんさまが「正しい手洗い」で人と人とのつながりをつくるように、わたしたちも、地域のみなさまに支えらえていることに感謝しながら、人と人とがつながるお手伝いをさせていただければと思います。

※マスクを着用していない写真は、撮影時のみ外して撮影しています。

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