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宮城県東松島市青い鯉のぼりプロジェクト


仙台支社お客さまアドバイザー・支社スタッフ

それぞれの想いをのせて「希望の青」が空を泳ぐ。
前を向き、歩み出す人の背中を押す風を興し続けたい。

2023年の創業100周年に向け、「THE MUTUAL(ザ・ミューチュアル)-次代の"相互扶助"を考える-」というコンセプトのもと、100周年プロジェクトに取り組んでいます。「THE MUTUAL」とは共感・つながり・支えあいをベースとした、次の100年に向け進化する次代の相互扶助のことです。

今回ご紹介するのは、2021年5月に11回目の開催を迎えた”青い鯉のぼりプロジェクト”。青い鯉のぼりを空に揚げ、東日本大震災で犠牲となった子どもたちに鎮魂の祈りをささげるこのプロジェクトは、東松島市の復興の象徴にもなっています。今年も、全国から寄せられた約700匹の青い鯉のぼりが空いっぱいに泳ぐ様子を、訪れた多くの人たちが見上げていました。

“青い鯉のぼりプロジェクト”に、仙台支社のお客さまアドバイザー(以下 お客さまAD)がボランティアとして参加。社内で青い鯉のぼりの寄付を募るとともに、鱗一枚一枚に未来へのメッセージを書いた「手作り鯉のぼり」を作成し寄贈しました。
今回は“青い鯉のぼりプロジェクト”の共同代表を務める伊藤健人さんと千葉秀さんに、現在までの歩みや想い、そして、これからの未来についてお話を伺いました。

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プロジェクトの共同代表を務める伊藤健人さん(右)へ、青い鯉のぼりを寄贈しました

たった一人の「家族への想い」が共感を呼び、
たくさんの人の想いを未来につなぐプロジェクトへ。

お客さまAD “青い鯉のぼりプロジェクト”の、現在までの歩みを教えてください。

伊藤さん(以下 伊藤) “青い鯉のぼりプロジェクト”は、2011年の東日本大震災を機にはじまっています。わたしは震災で家族4人を亡くしていて、その中にはまだ5歳の弟がいました。瓦礫をかき分け、家族を探す中で、弟が大好きだった青い鯉のぼりを見つけました。そのとき、「天国にいる弟に、鯉のぼりが力強く泳ぐ姿を見せたい」と思い、亡くなった祖父、祖母、母への想いを重ね、家があったところに、青い鯉のぼりを揚げたことがはじまりです。

プロジェクトの原点は、わたし自身の「家族への想い」ですが、多くの人の共感を呼び、日本はもちろん、世界からも支援をいただいています。今では、みなさんの想いを受け取って、未来へつないでいくプロジェクトになってきています。

お客さまAD 2021年度のテーマは「風を興す!」なんですね。

伊藤さん プロジェクトを通して、さまざまな場面で背中を押してくれる「風」を感じてきました。「興す」という言葉には、10年前に止まった時を未来へ動かしたい、新しいことをはじめる勇気を届けたい、そんな想いを込めています。
今年はSNSで「青い鯉のぼりプロジェクト2021」というハッシュタグをつけて投稿し、みんなでタイムライン上に風を興そうという企画を実施しました。直接会えなくても想いは伝わっていく、人と人とはつながれる。自分たちが風を興せば、会うことができない人ともつながることができる。そう思っています。

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プロジェクトの共同代表を務める千葉秀さん(左)へ、お話を伺いました

シンプルな活動だからこそ、続けられる。
続けられるから、人と人のつながりが自然と深まる。

お客さまAD では、“青い鯉のぼりプロジェクト”で大切にされていることをお聞かせください。

千葉さん(以下 千葉) 「シンプルであること」を大切にしています。プロジェクトのはじまりは、健人君の純粋な「家族への想い」。原点を踏まえた上で未来へ続くプロジェクトにするために、仕組みを複雑にしたり、組織を大きくしたりといったことは望ましくないと思っています。

プロジェクトを応援したいと感じてくれた人に、「不要になった青い鯉のぼりがあれば、わたしたちに分けてください」「もしお時間があれば、鯉のぼりを見に来てください」と伝える。それだけでいいと思っています。

お客さまAD 今日も、たくさんのご家族が鯉のぼりを見に来ていらっしゃいましたね。

千葉 震災当時はまだこの世に生を受けていない小さな子どもたちも、たくさん走り回っています。この地にも新たな命が芽生えていることを感じる瞬間です。
小さな子どもたちもいつか、プロジェクトの意味に気づく瞬間が訪れます。そのとき、健人君や、関わっている人の想いを感じ取って、何かを考えるきっかけになればうれしいです。おそらくですが、わたしたちの想いに触れて何かを感じてくれた人が「また、来年も見に行こう」と思い、参加してくれているのだと思います。

お客さまAD 10年間活動を続けられたことで、つながりがどんどん深まっています。お二人は、人と人のつながりをつくったり、深めるために心がけていることはありますか?

伊藤 プロジェクトを通して、シンプルな共同作業は、人と人のつながりをつくるきっかけになると知りました。「鯉のぼりを揚げる」という目的に向かって一緒に作業をすると、心の壁があっという間になくなります。

千葉 相手を尊重し、感謝することですね。なるべくボランティアで参加していただいている人たちの顔を覚えて、一年ぶりに会っても「今年も来てくれたの?」と声を掛けるように意識しています。誰でも、自分のことを覚えていてくれるとうれしいですよね。
出会う人みんなを歓迎し、心から感謝すること。この心がけをプロジェクトメンバー全員が大切にしてきたことで、10年間続けられたのだと思います。

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多くのボランティアの人たちと力を合わせ、仙台支社のお客さまアドバイザーも青い鯉のぼりを空に掲げました

100年続くプロジェクトを目指し、
次世代が笑顔で活動できる環境を整えたい。

お客さまAD フコク生命は、2023年11月22日に100周年を迎えます。100周年に向けて、全国のさまざまな地域の活動に参加させていただきながら、改めて次代の相互扶助について考えています。

保険は、万が一のときにお互いに助け合う仕組みです。つまり、人と人のつながりから生まれたものと言えます。そういう意味では、みなさまとわたしたちの活動には共通点があると感じています。わたしたちが「人と人のつながり」をテーマに一緒に活動するとしたら、どのような事が考えられるでしょうか。

千葉 わたしたちは、100年先も続くプロジェクトを目指しています。まもなく100周年を迎えられるフコク生命さんは大先輩ですから、様々な形でプロジェクトに関わっていただきたいです。

“青い鯉のぼりプロジェクト”は決まった場所を持っていないので、明日には、この場に設営したものをすべて撤去しなければなりません。
健人君とは「鯉のぼりを揚げられる決まった場所があれば」と話しています。そうすれば、次世代の担い手に毎年苦労をかけなくて済む。未来のプロジェクトメンバーが、ワクワクできることに素直に向き合えるのに、と歯がゆい思いを抱くこともあります。
さらに、わたしたちの拠点が、災害時のベースにもなれたらと思います。

伊藤 フコク生命さんから、いろいろな支援をいただければ大変ありがたいのですが、まずは職員のみなさんに鯉のぼりを見に来ていただけたらうれしいです。ボランティアとしての参加も助かります。創業100周年を目前にしたフコク生命のみなさんが間近にいてくださるだけで、すごく勇気づけられます。

お客さまAD ありがとうございます。これからもお手伝いしたいですし、この活動を全国に発信し、みなさまの活動の支援につなげたいと思います。

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鱗一枚一枚に、仙台支社職員の未来へのメッセージを書かれた「手作り鯉のぼり」

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「THE MUTUAL」アンバサダーの斎藤工さんからも直筆のメッセージをいただきました

忘れない。でも前を向く。
生きる人々の未来を動かす起点となる場。

お客さまAD イベントの空気感も、数年前とは変化していますよね。わたしも地元の人間なので、以前はイベントに来ると泣けてしまって……。でも、今日は涙するより先に、700匹の青い鯉のぼりを見上げ「なんて綺麗なのだろう」と感動していました。自分でも少し驚いています。

伊藤 青い鯉のぼりから、「希望」を感じていただけてうれしいです。過去も忘れずに、前を向いていく。この場の、この時間が、一人ひとりの背中を押す風になってくれればと願っています。

お客さまAD では、最後の質問です。
フコク生命は、「THE MUTUAL〜次代の相互扶助を考える〜」をコンセプトに、フコク生命に関わるすべての人のつながりを深め、支えあい、真の"相互扶助"を体現する組織を目指しています。

これからの時代、人が心身ともに豊かに暮らしていくために、人と人の関係はどうあるべきだと思われますか。また、自らはどうありたいとお考えですか。

伊藤 血のつながりはなくても、家族のように接してくれる人が自分の周りにはたくさんいる。その気づきが、自分を大きく変えたと思います。生き残った者として、いったいどうしたらいいのか…と立ち止まってしまうこともありました。そんなとき、“青い鯉のぼりプロジェクト”を立ち上げたからこそ、出会えた人たちに助けられたことで、また歩み出せたのです。わたしも、あたたかいつながりの起点になりたいです。

千葉 同じ時代に生きる人と人をつなぐこと、そして別の時代を生きる人と人をつなぐことの両方を考えないといけないと思います。
プロジェクトを通して「会えないから通じ合えない」というのは、違うかもしれないと教わった気がします。想いがあれば、天国の家族や友人とも通じ合えるのでは…そんなことも思います。わたしたちもいつか、次の世代が揚げる青い鯉のぼりを、空の上から見たいです。

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仙台支社

編集後記

仙台支社 お客さまアドバイザー・支社スタッフ

“青い鯉のぼりプロジェクト”が、原点を守りながら100年先も続いてほしい。そう心から願うとともに、未来へ向かうエネルギーに満ちた活動へと変化しはじめていることが素敵だなと思いました。
100年先という未来を見据えて活動されるお二人に出会い「わたしたちは創業時の“ご契約者本位”という想いや、“相互扶助”の精神を受け継いでいるだろうか」と自問自答するきっかけをいただきました。これからも、地域の活動に積極的に関わり、人と人のつながりを大切にしていきます。

※マスクを着用していない写真は、撮影時のみ外して撮影しています。

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