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石川県金沢市学生献血推進ボランティア


金沢支社お客さまアドバイザー・支社スタッフ

つながりによって救える命がある。
献血の必要性を発信し続け、助け合いの輪を広げたい。

2023年の創業100周年に向け、「THE MUTUAL(ザ・ミューチュアル)-次代の"相互扶助"を考える-」というコンセプトのもと、100周年プロジェクトに取り組んでいます。「THE MUTUAL」とは共感・つながり・支えあいをベースとした、次の100年に向け進化する次代の相互扶助のことです。

金沢支社では、石川県生命保険協会主催の献血協力月間への参加をきっかけに、献血活動に力を入れています。その活動の根底には、前金沢支社長である大上の想いがあります。

大上は3年前、石川県学生献血推進委員会総会で、自らの体験をベースに献血について講演する機会をいただきました。そこで出会ったのが、学生献血推進ボランティアのみなさんです。今回の対談では、石川県内で活動する学生献血推進ボランティアの舘一葉さんと、早川遼汰さんにお話を伺いました。早川さんは、3年前に大上の講演を聞いてくださったひとり。この対談が再会の機会となりました。

献血という “支えあい、助け合い”の輪を広げていきたいという共通した想いのもと、どのような活動をしているか、また献血を取り巻く現状や、今後の展望について語り合いました。

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誰かの血液が、家族の悲しみを和らげてくれた。
今を生きる者の使命として、献血活動に取り組む。

お客さまアドバイザー(以下、お客さまAD) 金沢支社は、生命保険協会の献血キャンペーンで石川県1位を獲得するなど、献血活動に精力的に取り組んでいます。わたしたちが献血活動に力を入れるようになったのは、前金沢支社長である大上の熱意に触れたことがはじまりです。まずは大上から、献血活動を始めるきっかけとなった体験についてお話しさせていただきます。

大上 18年前に長女が生まれたのですが、妻は出産時の出血多量で帰らぬ人となりました。「東京都中のAB型の血液を集めて輸血しましたが、このような結果になってしまい申し訳ない…」と、医師の方が手を震わせながら話す光景を、わたしは今でも忘れられません。
つらい経験でしたが、ひとつだけ救いがありました。誰かが献血してくれた血液のおかげで、妻は出産日の翌日まで生き抜くことができたのです。長女にとっても、自分の誕生日が母の命日となっていたら、もっとつらい想いをしたはずです。献血が家族の悲しみを和らげてくれたという経験が、わたしの献血活動への想いを生みました。

以来、わたしは生命保険協会の献血キャンペーンには必ず参加しています。活動の中で、大量の血液が必要になる場面は、出産時とがんの治療であるということを知りました。当社はがん保険を取り扱っていますし、がんの治療について理解を深め、想いを持って保険をご案内するためにも、会社として献血活動に力を入れるべきではないかと考えていました。

男手ひとつの子育ては苦労もありましたが、長女は無事成長し、わたしも周囲に恵まれ、充実した社会人生活を送ることができました。金沢支社長に就任した時、会社として業績を上げるだけではなく、社会貢献活動の一環として、献血活動に力を入れたいと思ったのです。わたしが金沢を離れた今も、後任である現金沢支社長と、支社の職員がその意志を継いで、積極的に献血活動に取り組んでくれています。

社会貢献活動は、なにかきっかけが無いとなかなか始められないものです。学生献血推進ボランティアのみなさんが、若くして献血推進活動に取り組まれていることにわたしたちも感銘を受けています。ぜひ、お二人のお話を聞かせていただき、社内の献血活動も活性化できたらと考えています。

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献血活動を始めるきっかけとなった自らの体験を話す大上(右)の話に、真剣に耳を傾けてくれた早川さん(中央)と舘さん(左)

献血は、輸血用血液を確保する唯一の方法。
献血者数を増やすために、今できる工夫を重ねる。

お客さまAD お二人が献血推進活動をはじめたきっかけをお聞かせください。

舘さん(以下、舘) 高校生の頃から、なにかボランティアをしたいと思っていて、大学入学後に「学生赤十字奉仕団」という団体があることを知りました。先輩から献血について教わると、自分が知らないことばかり。わたしのように、献血が身近でない人に正しい知識や重要性を伝えたいと思い、活動を始めました。

早川さん(以下、早川) わたしは父から「献血会場はお菓子食べ放題だよ」と聞いて、高校3年生のときに初めて献血をしました(笑)。大学入学後、キャンパス内に献血バスが来ていたので行ってみると、呼び込みをしていたのが学生だったんです。四年間かけて取り組めることを探していたこともあって、活動への参加を決めました。

お客さまAD たしかに、お菓子や景品も楽しみのひとつですよね。後日、血液検査の結果を受け取ることができ、自分の健康状態を知ることができるのも大人になると魅力に感じます。お二人は普段、どのような活動をされていますか?

 大型ショッピングセンターなどで献血の呼びかけをしています。現在は新型コロナウイルス感染拡大の影響でなかなか思うように活動ができませんが、少しでも関心を持ってもらうため、患者さんからのメッセージを添えたティッシュを配布しながら献血協力を呼び掛けたりもしています。

早川 そういった日々の活動以外にも、年に3回、石川県内の学生献血推進ボランティアが主催するキャンペーンがあります。たとえばサマーキャンペーンなら、「暑さのなか、来場者を増やすにはどうしたらいいか」などをみんなで考え、アイデアを出し合っています。

お客さまAD さまざまな活動をされているんですね。では、活動の中で印象に残っている出来事をお聞かせください。

 常に血液が必要とされていると知ったことです。赤十字血液センターのホームページに掲載されている献血状況を見ると、ほとんどの血液型で献血が求められています。血液は長期保存ができないので、継続した献血をお願いしていますが、わたしの周りでも定期的に献血をしているという人はあまり見かけません。自分が見えていないところで、血液さえあれば救えた命があったのではないか。そんな危機感を覚え、活動への意識が高まりました。

お客さまAD 血液は人工的につくることができません。輸血に使用される血液を確保する方法は、献血以外ないという事実を伝えたいですね。

早川 一年生の頃は「誰かのために良いことをしたい」という気持ちで献血推進活動に取り組んでいましたが、二年生になる頃には「活動を続けていくためにも、誰かのためだけではなく、自分のための活動にもしていきたい」と考えるようになり、活動に自分なりの工夫を加えるようになりました。自分で考え行動したことが、献血者数の増加につながり、達成感を感じられました。

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献血の輪を広げるため、さまざまな場所で献血推進活動に取り組む早川さん(上)と舘さん(下)。

血液は「無限の財産」。
みんなで少しずつ分かちあい、命をつなげよう。

お客さまAD 学生献血推進ボランティアへの参加前後で、献血や社会への意識は変化しましたか?

 わたしが献血推進活動を通して出会った人たちは、みんなだれかを助けたいという純粋な想いで活動をしています。彼らに出会って、人が本来持つ優しさや、温かさに気づくことができました。

早川 一番の変化は、献血という仕組みそのものに詳しくなれたことです。活動をしていなければ、献血した血液がどのように活かされるのか知らなかったはずです。また、勇気を出して自分から行動することで、人の行動も変えることができると感じています。

お客さまAD 早川さんのおっしゃる通り、人の行動を変えるには、献血で得られた血液がどんな場面で役立っているのかを知ってもらうことが大切ですよね。例えば、東京都では輸血を受ける患者さんの3割以上が、がんの治療を受けている患者さんであること。知識があれば、がんと闘う人が身近にいる方たちは、献血へ協力しようと動いてくれるかもしれません。
では、お二人が活動を通して伝えていきたいことをお聞かせください。

 自分の財産を取り崩してお金を出す募金と違い、健康な方は、血液を一度提供してもまた自分の身体で生み出せます。血液という財産は、生きている限り湧いてくる。その無限の財産を、ほんの少し必要な人に分けてあげることで、救える命があることを伝えたいです。

早川 献血の大切さを知る機会は、大上さんのご経験のように、つらい想いを伴うことが多いです。災害が起きてから防災を意識するように…。でも、本当はつらい思いをする前に献血の必要性に気付いて、行動してほしい。献血によって、自分や大切な人の万が一に備えられると知ってもらえるように、普及活動を頑張りたいです。

お客さまAD 保険も同じで、病気や怪我をする前に備えたいと意識されたお客さまにご加入いただいています。献血も保険も、万が一のときに助け合える仕組みだと伝えていきたいです。

課題は、若い世代への情報発信。
献血に親しんでもらうため、あらゆる手段でアプローチしていく。

お客さまAD お二人は、献血という“支えあい、助け合いの輪”を広めていくために、どのような行動が必要だと思いますか? また、金沢支社がみなさんと活動するとしたら、どのような事が考えられるでしょうか?

 石川県内の献血者の中心層は40~50代だそうです。一方で、わたしたちのような10~30代の若い世代の献血者が減少しつつあります。今後は、若年層の献血者を増やすことが課題です。若い世代に向けた情報発信が必要だと感じています。

お客さまAD フコク生命のメディアや広告などを活用することで、活動のPRを手伝えないかと考えています。また、イベントの共催、活動への参加やサポートなども実現できそうです。

早川 新型コロナウイルス感染症拡大の前までは、高校生に向けて、献血を知ってもらう機会をつくっていました。こういった広報活動を再開させながら、小中学生に向けた情報発信にも取り組みたいです。小さい頃から、献血に親しんでもらいたいですね。

お客さまAD わたしの子どもは、献血を題材にした絵本をよく読んでいます。小中学校にみなさんが赴いて講演するなど、さまざまな形で献血に親しんでもらう機会ができたらいいですよね。

では、最後の質問です。フコク生命は、2023年11月22日に100周年を迎えます。100周年に向けて、全国のさまざまな地域の活動に参加させていただきながら、これからの“人と人のつながり”について考えています。献血はまさに、人と人のつながりによって生まれる仕組みです。献血推進活動を通して、人とのつながりをつくるために大切にしていることはありますか?またこれからの時代、人と人のつながり方はどうあるべきだと考えますか。

早川 献血推進活動も、対面のほうが人とコミュニケーションを取りやすいですが、今は直接お会いすることが難しい状況です。オンラインツールとオフラインを組み合わせて伝える工夫をしていきたいと思っています。最近はTikTokの活用も始めました。献血の流れを動画で説明し、若い世代に向けて発信しています。

 人と会うことが減り、自分の考えや想いを伝える機会も少なくなっていますが、わたしも今できる方法を探し、実践していきたいです。例えば、想いを文字にして伝えることもできます。コミュニケーションを諦めないことが人とのつながりをつくったり、深めていくために、大切なことだと思います。

早川 どんな状況でも諦めず、工夫して、想いを届けたいですね。わたしたちもみなさまとともに、献血の大切さや正しい知識を伝え続けていきます。

北九州支社

編集後記

金沢支社 お客さまアドバイザー

「血液は無限につくり出せる。少しずつ分けあえば救える命がある」というお二人の言葉にハッとしました。献血は、人が本来持つ財産で協力できる素晴らしい仕組みです。献血活動が社内に根付いていくよう、これからも周囲へ呼びかけていきたいです。
関心が薄い人に振り向いてもらうことは大変ですが、「献血で得られた血液がどのように役立っているのか」をわかりやすく伝え続けることで、人が本来持つ優しさや温かさを呼び起こせるのではないかと思います。学生献血推進ボランティアのみなさんの、熱心な取組みが実を結ぶことを願っています。

※マスクを着用していない写真は、撮影時のみ外して撮影しています。

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