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山形県有限会社菅原物流


山形支社

様々なものを「つなぐ」
虹のかけ橋になりたい。

2023年11月の創業100周年に向け、「THE MUTUAL(ザ・ミューチュアル)-次代の"相互扶助"を考える-」というコンセプトのもと、100周年プロジェクトに取り組んでいます。「THE MUTUAL」とは共感・つながり・支えあいをベースとした、次の100年に向け進化する次代の相互扶助のことです。

山形県鶴岡市で物流業を営む有限会社菅原物流(以下、菅原物流)は、積極的に社会貢献活動に取り組んでいます。今回、山形支社が参加した「こどもミュージアムプロジェクト(※1)」も、その取組みの一つです。子どもたちの描いた絵やメッセージをトラックにラッピングし、ドライバーに「優しくしたい・世の中をよくしたい」という気持ちを呼び起こし、心のゆとりを取り戻すことで、交通事故を減らしていくことを目指しています。菅原物流にご協力いただき、フコク生命オリジナル「おやさいクレヨン(※2)」を地元の子どもたちに寄贈。その子どもたちが「おやさいクレヨン」で描いた絵をラッピングした「こどもミュージアム号」が完成しました。

菅原物流代表取締役社長の菅原司さんと総務管理部長の菅原真実さんに、同社の想いや取組みについてお話を伺いました。

※1 大阪の宮田運輸が業務中の交通事故をきっかけに始めたプロジェクト。子どもたちの描いた絵やメッセージをトラックなどにラッピングし、交通事故抑止につなげようという取組み。

※2 100周年プロジェクトの一環として、「THE MUTUAL Art for children」(ザ・ミューチュアル・アート・フォー・チルドレン)の取組みを実施しており、フコク生命オリジナルの「おやさいクレヨン」を製作。「THE MUTUAL Art for children」とは、当社が2012年度より開催している「すまいる・ぎゃらりー」の作品をデザインとして活用し、その想いを発信していく活動。作品を通じ、子どもたちと社会がつながるお手伝いをさせていただいています。また、多くの子どもたちに絵を描く楽しさを知ってほしいとの想いから、全国の保育園や幼稚園などに「おやさいクレヨン」をお届けしています。

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菅原物流代表取締役社長の菅原司さん(写真上)と総務管理部長の菅原真実さん(写真下)

顔の見えるつながりを大切に、
お客さまの想いも届ける。

お客さまアドバイザー(以下、AD) まずは、菅原物流の歴史についてお聞かせください。

菅原社長 創業は1970年です。父の実家が豆腐屋を営んでおり、鶴岡市の生活協同組合(生協)に卸していました。次第に生協から配送を依頼されるようになり、「菅原運送」として独立したのが始まりです。そして、創業50年という節目の2020年に「菅原運送」から「菅原物流」へと社名を変更いたしました。社名変更には、運送業から物流業へと事業領域を広げたい、「こどもミュージアムプロジェクト」などの社会貢献活動にもっと取り組みたいという想いが込められています。
いい時ばかりでなく、大変な時もありました。目先の売上を伸ばそうと下請けの仕事を多く引き受けた結果、業績は伸びず仕事量だけが増え社員が疲弊してしまうという悪循環に陥ったこともありました。現在では、下請けの仕事は減らし、顔の見えるお客さまと直接お取引きするようにしています。

AD 下請けの仕事を多く引き受ければ経営が安定するように思いますが、そうではないということでしょうか?

菅原社長 そうですね。顔の見えるお客さまと直接お取引きすることのほうが、大変な事は多いです。人間関係の構築が必要ですし、時には難しい要求に対応しなければいけません。大変ではありますが、お客さまにご満足いただこうと考えたり工夫したりするからこそ生まれることがたくさんあります。その結果、お客さまから新たな取引先をご紹介いただくこともあります。
創業当時から現在に至るまで社員、お客さま、取引先、地域の方々、数えきれないほどの人とのつながりにより現在も営業を続けることができています。決して効率的とは言えない業務もありますが、「非効率」や「めんどう」を大切にし、荷物だけでなくそれに込められた想いも一緒に配送したいと考えております。

AD 私たちもFace to Faceの営業活動を通して、お客さまの想いを大切にしていますので、菅原社長のお考えにとても共感しました。

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左から、菅原物流を担当している佐藤美絵お客さまアドバイザーと佐藤美幸お客さまアドバイザー(山形支社鶴岡みなみ営業所)

「つなぐ」ことが、
よい感情を生み出す。

AD 今回は「こどもミュージアムプロジェクト」に参加させていただきありがとうございました。トラックに描かれた子どもたちの絵を拝見して、見る人の心に優しさを届ける素晴らしい取組みだと感じました。プロジェクトに参加されたきっかけをお聞かせください。

菅原社長 わたしたちは、「商品をつなぐ」「想いをつなぐ」「お客さまとお客さまをつなぐ」「地域をつなぐ」様々なものを「つなぐ」虹のかけはしになり地域の生活・経済を支え、人々が明るく元気に活動できる地域づくりのお手伝いをしたいと考えております。現在まで、地元の子ども会キャンプの荷物搬送や吹奏楽部の楽器搬送、夏祭りへのトラック提供など、様々な取組みを行なってきましたが、もっと地域のためにできることはないかと考えていた時に宮田運輸さんが立ち上げた「こどもミュージアムプロジェクト」の存在を知りました。

菅原部長 このプロジェクトは、業務中に起きた交通事故をきっかけに始まった取組みと聞いています。最初はドライバーのお子さんが描いた絵をタンブラーに貼り、それを車内に置くことから始められたそうです。絵を見ることで子どもを思い出し、心のゆとりを取り戻すことで安全運転につなげて欲しいという想いが込められているとのことです。その想いが広がり、トラックに絵のラッピングを施し地域にも交通安全の輪を広めていこうとなり、その想いに共感しプロジェクトに参加することを決めました。

AD 「こどもミュージアムプロジェクト」は、人と人の想いをつなぐ取組みなのですね。当社の創業100周年に向けたコンセプト「THE MUTUAL」と共通点があると感じました。

菅原社長 菅原物流は規模も小さく、鶴岡市という地方都市を中心に営業活動を行っていますので、地域の方と少しでも多くのつながりを持ちたいと常に考えています。「こどもミュージアムプロジェクト」のトラックをお披露目する会でも、ただ見せて終わるのではなく、実際に子どもたちがトラックや冷蔵車、フォークリフトを体験できる機会を作りました。子どもたちは喜んでくれましたし、わたしたちも子どもたちと触れ合うことができ楽しかったです。近々、会社が移転しイベントを開催できるスペースが広くなりますので、地域の方と触れ合う機会を今後も作っていきたいと思います。

菅原部長 ドライバーにとっても、お客さまや地域の方とのつながりを実感できることはよいことです。ただ荷物を運んでいるだけでは、仕事のやりがいに疑問を持つこともあります。街中で手を振ってもらえるだけでも、うれしい気持ちになるものです。お客さまや地域の方とのつながりが、わたしたちのやりがいになっていくのです。

AD 人と人を「つなぐ」ことで、お互いによい感情が生まれているのですね。わたしたちも、いま以上に地域とのつながりを大切にしていきたいです。

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「おやさいクレヨン」で描いた絵をラッピングした「こどもミュージアム号」

一人ひとりがつながれば、
よりよい世の中になる。

AD これからの時代、地域社会の一員として企業はどうあるべきだとお考えですか?

菅原社長 鶴岡市という地方都市が抱える人口減少や労働力不足といった問題は一企業で解決できるものではありません。私も地域課題解決のために意見交換する場に顔を出すようにしていますし、もっと発信をしていきたいと思います。様々な業種の企業が力を合わせれば、きっといい街になると信じています。私の目標の一つに、鶴岡市の農産物を首都圏など大きな商圏で販売したいと考えている農家さんをサポートしたいということがあります。そこでチャンスを掴めば、新たな雇用を生み出すこともできます。若い人たちに希望を与えることもできます。人口流出が抑えられ、地域の活性化につながるはずなのでぜひ実現させたいです。

菅原部長 鶴岡市で学ぶ中学生や高校生と触れ合って、彼らは意外と地元のことを知らないということがわかりました。そのため、鶴岡市にどういう企業があって、鶴岡市でどういうことができているのかを伝えていくことが大事だと思い、数年前から高校生と企業の橋渡しをする職業体験イベントに参加しています。わたしたち大人から若い人に対して、地域の魅力を積極的に伝えていくことのできる仕組みを作れたらいいなと考えています。

AD では、最後の質問です。「THE MUTUAL」という言葉には、これからの時代、人が心豊かに暮らしていくためには人と人のつながりこそが大切であり、そのつながりを作っていきたいという私たちの想いが込められています。これからの時代、人と人のつながり方はどうあるべきでしょうか?どのような“支えあい、助けあい”が必要だと思われますか?

菅原部長 これは私個人の意見ですが、つながりを必要としているけれど団体行動や拘束されることを敬遠する傾向にあると思っています。そのため、「この指とまれ」ぐらいの緩やかなスタンスで、その時々に集まりたい人が集まり、自然に解散するというのが今の時代に合っているのかなと思います。一人ひとりが、「この指とまれ」と気軽に声を上げることができる。そして、その声のもとに人が集うことができる環境作りと、集まった小さな力を形に変えることができる環境作りが大事だと思います。

菅原社長 毎年、会社の経営計画を発表する際に、「ありがとう」の気持ちを大切にしようと社員に伝えています。そして、「思いやり」も大切にしてくださいと付け加えています。心の根っこにこういう想いがあれば、自然と地域の生活や経済を支援する行動が生まれると思います。その行動を積み重ねることで、様々なものを「つなぐ」虹のかけはしを架けることができるのではないでしょうか。少しずつこうした想いを浸透させていき、虹のかけはしが広がればよりよい世の中になるのではないかと思っています。

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お二人の話をじっくり聞く関口支社長(山形支社)

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編集後記

山形支社

わたしたちのお客さまである菅原物流さまとは、よくお会いしておりますが、菅原社長のお話をじっくりと聞く機会は今回がはじめてでした。お二人の想いを伺い、わたしたちも何かお力になりたいと思いました。印象に残ったのは、お客さまとの間に顔の見えるつながりをつくることを大切にされていることです。そのつながりから新たなつながりが生まれ、会社の転機となったというお話にはとても共感しました。フコク生命もお客さまとのFace to Faceの対話を大切にしています。コロナ禍になってから思うようにお客さまを訪問できない現状がありますが、改めてお客さまに直接お会いすることの重要性を痛感しています。
また、菅原物流さまが物流業を通して人、地域、商品など様々な「つながり」を深める活動に積極的に取り組まれていることにも感銘を受けました。わたしたちも地域とともに存在する企業として何ができるかということをもっと追求していきたいと思います。

※マスクを着用していない写真は、撮影時のみ外して撮影しています。

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