「ご契約者本位」という想いのもと、1923年に相互会社として創業されたフコク生命。この相互会社という会社形態にこだわったのが富国生命保険相互会社第2代社長吉田義輝(よしだ よしてる)だ。
吉田は言う。「ご契約者が保険団体を構成して互いに助け合う、社会的相互扶助が保険の精神である。保険はご契約者の事業であり、われわれはご契約者に代わって事業運営をしているにすぎない。株式会社では、到底、ご契約者本位を徹底できない。だからこそ、営利至上主義ではない、相互会社であるべきだ」と。
フコク生命では、配当還元のさらなる充実を通じて、お客さまの実質的な保険料負担の軽減を図ることを、相互会社としての使命としている。この使命を全うし続けるためにも、理念が重要となる。理念の根底にあるもの。それが、吉田義輝の想いや発言をまとめた冊子『創業の心』だ。『創業の心』はすべての役職員が持ち、研修などで活用している。創業100周年を迎えるにあたり、次代を担う30代の職員たちが『創業の心』に立ち戻り、次の100年への宣言をここに遺す。

保険の仕事は、頭を働かせ、
健康と正直を資本として、人の心に触れる仕事である

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渡邉
私が100年先に遺したいのは「保険の仕事は、頭を働かせ、健康と正直を資本として、人の心に触れる仕事である」という言葉です。吉田義輝は、経営者でもありましたが、保険外交員として多くのお客さまと接してきました。その経験から生まれた言葉だと思います。
この言葉の大切さを実感したのが、経営幹部の育成を行う研修プログラムの一環として、保険募集に取組んだ時の出来事です。研修期間が残りわずかとなり、目標に到達せず切羽詰まっていた時に、とあるお客さまとの出会いがありました。奥さまの貯蓄性の高い保険が満期が近づいており、後継の保険に加入したいとのお話がありました。しかし、保険はご家庭内に与えるリスクが大きいものから備えるべきという想いがあり、ご加入されている保険の内容を確認させていただきました。すると、大黒柱であるご主人の保障に不足があることがわかりました。お客さまが考えられていない保険をご提案することで面倒がられ、せっかくのチャンスを逃してしまうかもしれないという不安もありましたが、お客さまに私の考えを正直にお伝えしました。すると、お客さまが大変共感してくださり、最終的にはご主人の保険を切り替えていただくことになりました。お客さまにとって何が一番大切か頭を働かせ、正直に対応することが、お客さまのためになるのだと実感しました。
部門に関係なく、結局は、お客さまに喜んでいただくために何をすべきか頭を働かせることが、一番大切にするべきことだと思います。それを体現していくためには、やはり会社としても個人としても、嘘偽りない正直さで、お客さまに向き合わなければいけないと思います。そうすることで、お客さまの心に触れるサービスを、これから先も提供し続けていくことが、私たちに託されていることだと思います。

これからの保険事業は、
ご契約者を本位としてやっていかなければ
大きな発展はできない

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今井
私は現在、財務投資部で資産運用に携わっています。お客さまと直に接する機会がない業務に携わっているからこそ、「これからの保険事業は、ご契約者を本位としてやっていかなければ大きな発展はできない」という吉田義輝の言葉を、片時も忘れてはいけないと思っています。
保険会社は、株であったり、債券であったり、融資であったりと、さまざまな手法で資産を運用しています。時には数十億という大きな資産を運用することもありますが、その資産は、お客さまからお預かりしている保険料が積み重なったものです。私たちが運用している資産は、お客さまの資産なのです。私たちが働けているのは、お客さまがいてくれるからです。ですから、どの部門においても、お客さま本位でなければならないのです。
吉田義輝は、「仕事の熱が乗らないのは、会社のために働いているからである」という言葉も遺しています。自分が働けているのは、お客さまのおかげ。そのお客さまのために、仕事に熱を注ぐのは当然のことです。やらされているのではなく、お客さまのためにという気持ちを常に持ち続ければ、自然と主体的に行動できるのではないでしょうか。そういった心がけが受け継がれていけば、次の100年、お客さまのため、フコク生命はもっと良くなっていけると思いますし、その先頭に立って歩いていきたいと思います。

保険は、ご契約者の事業である

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大木
保険会社の責務は、いかなることがあっても保険金・給付金等をお客さまに確実にお支払いすることです。私たちが、この責務を果たすことができるのは、お客さまにご加入いただいているからです。保険は、お客さまあっての事業なのです。
今から100年以上前、吉田義輝は「保険は、ご契約者の事業である。私たちは、ご契約者に代わって事業運営をしているにすぎない」との考えに至り、相互組織での保険会社を創業すべく奔走しました。お客さまのために保険事業を運営する、そのことに、ひたすらこだわったのが吉田義輝であり、私が100年先に遺したい「創業の心」なのです。
私は現在、「お客さま基点」を実践する人材の育成を担う、人材開発本部に在籍しています。「お客さま基点」は、フコク生命の価値観であり、人材育成の軸となっています。「お客さま基点」の誕生を遡ると、「保険は、ご契約者の事業である」という吉田義輝の言葉につながるということを上司・先輩から教わりました。「創業の心」を受け継ぎ、自己の利益ではなく、お客さまの利益をひたすら追求してきたのがフコク生命。だからこそ、今、100周年を迎えることができるのだと思います。
100周年をきっかけに、フコク生命の理念や歴史に触れる機会が増え、「フコク生命に入ってよかった」と、より強く感じるようになりました。原点である「創業の心」に立ち返ることで、これからフコク生命が進むべき方向がより明確になったように感じます。「THE MUTUAL」(ザ・ミューチュアル)、真の相互扶助を体現していくことが、フコク生命の真髄を100年先まで受け継いでいくいことになると確信しています。

恥を知れ

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橋立
吉田義輝は、「恥を知れ」という言葉を遺しています。フコク生命が掲げる行動原則の「良識を持って正しく行動します」の元となっている言葉でもありますが、吉田義輝の生き様に触れた私には、もう少し別の意味が込められていると感じました。
働く上で大切なことのひとつに“課題意識を持つ”ということがよく言われます。足りないことを知り、認め、解決していくことで、自分自身や会社を良くしていくという考えです。ですが、自分の課題を自覚することはなかなか難しく、他人に指摘されるまでなかなか気づかないものです。自分自身の課題を自覚しようと努めること、それが、吉田義輝が言うところの「恥を知れ」だと思うのです。自分に足りないことがあるのは当たり前です、会社も完璧ではありません。「恥を知れ」と言った吉田義輝は、「恥があることは、恥ずかしいことではない。その恥を、しっかりと認識した上で、正していく努力をするべき」といった意味を込めていたのではないかと思っています。
現在も所属しているデジタルイノベーション推進グループの立ち上げ時には、吉田義輝の言葉から勇気をもらったことをよく覚えています。そもそも、デジタルイノベーションを推進する部門が必要だと感じたのは、アメリカで最新のデータサイエンスに触れたのがきっかけです。帰国して、いざ学んだことを実践しようと考えたときに、フコク生命には、その環境が存在しないということがわかりました。そこに、フコク生命は課題を抱えていたのです。まずは、その課題を上司、役員の方たちに、伝えていかなければいけない。ですが課題を指摘することで、「こいつは面倒だ」と煙たがられることもあるでしょう。しかし、そのことを恐れていたら何も変わらない。吉田義輝の言葉を胸に、何が課題なのか、その課題の解決のために何が必要なのかを説明していきました。その結果、力を貸してくれる上司や同僚が増え、デジタルイノベーション推進グループの立ち上げに至ったことは、私にとって大きな財産となっています。
デジタルイノベーション推進グループのミッションは、全社横断的に課題を洗い出し、デジタルの領域で解決していくことです。このミッションの達成には、様々な人の助けが必要なことは言うまでもありません。私は100周年プロジェクトに参加しています。参加した理由は、実は同じように会社に対して課題意識を持つ仲間がいるのではないかという期待があったからです。吉田義輝が遺してくれた「恥を知れ」を胸に、仲間とともにフコク生命をよりよい方向に導いていくことが、私の使命だと強く感じています。

働くことを幸福と感じて働けば
自分にとって必ず良い結果がもたらされる

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遠藤
2012年に入社以来、さまざまな業務に携わってきました。その中で感じたのは、業務への向き合い方で、もたらされる結果が大きく変わってくるということ。「働くことを幸福と感じて働けば、自分にとって必ず良い結果がもたらされる」、まさに、吉田義輝が遺した言葉そのものです。
創業した当時のフコク生命は、全社で230名ほどの小さな保険会社でした。吉田義輝は、他人の幸福に寄与する信念を貫けば、自らも幸福になれるという考えのもと、全身全霊で打ち込み、仕事と自分とが一体となるほどの働きぶりだったそうです。その奮闘は、小さな保険会社を短期間で大きく成長させたといいます。働くことを幸福と感じることは、働くことへ誇りを持てているということ。私自身、フコク生命で働くことに誇りを持ち、業務に全身全霊で携わるように心がけていますが、そのことを誰よりも体現したのが、吉田義輝なのだと思います。
次の100年に向けても、全役職員がフコク生命で働くことに誇りを持つことが大切だと思います。創業以来、一貫して相互会社形態をとっている理由、100周年で掲げている「THE MUTUAL」(ザ・ミューチュアル)の精神、そして、そもそもの生命保険の意義など、フコク生命で働くことへの誇りの源泉となる「フコク生命の良さ」は多くあります。100周年を機に、全役職員で「フコク生命の良さ」に触れることも必要だと思います。
「フコク生命の良さ」を次代に遺していくことはもちろんですが、しっかりと伝えていくことが、私たちの使命だと思います。もっと「フコク生命の良さ」を多くの人に知っていただきたい。それを実現するためにも、やはり「創業の心」を忘れることなく、自分たちの言葉で次の世代に受け継いでいきたいと思います。

吉田義輝の強い信念から生まれたフコク生命。その想いは、100年経った今も『創業の心』として、受け継がれている。
次代を担う職員たちに共通していたことは、それぞれが吉田義輝の言葉をしっかりと受けとめ、その言葉に込められた想いを自分ごととし実践することで、次代に伝えていこうとしていること。これから100年先も、お客さまのために、『創業の心』にある相互扶助の精神を、次代の相互扶助である「THE MUTUAL」として体現し続けなければならない。それが、私たちに託された使命に他ならない。