保険お役立ちコラム
先進医療特約の説明をする前に、まずは先進医療とはどのような医療なのかを明確にしておきましょう。
通常、病院で治療を受ける際は公的医療保険を使用した保険診療を受けます。保険診療は治療法や検査法、薬の種類など保険適用の範囲が決められていて、それ以外のものを使用することはできません。保険適用外の治療法や薬を使用したい場合は、“自由診療”となり、本来保険適用となる部分も含めて医療費全額が自己負担となってしまいます。
この例外として「先進医療」があります。「先進医療」は、厚生労働大臣が承認した先進性の高い医療技術のことで、それ自体は公的医療保険の対象外で費用は全額患者負担となりますが、“自由診療”にはならず、保険診療と併用して受診できます。
先進医療は新しい医療技術を用いて提供されるため、専用の設備や環境が整っている医療機関でしか受けることはできません。
では、先進医療として具体的にどのような治療があるのでしょうか。主な先進医療を以下にまとめました。
先進医療技術名 | 適応症 | 技術の概要 |
---|---|---|
陽子線治療 | 頭頚部腫瘍(脳腫瘍を含む。)などの一部のがん | 放射線の一種、陽子線をがんに照射する |
家族性アルツハイマー病の遺伝子診断 | 家族性アルツハイマー病 | 家族性アルツハイマー病の原因遺伝子変異の診断を行う |
先進医療にかかる費用は、全額自己負担です。ただし、診察や検査、入院料といった通常の医療費は保険診療にできます。
では、具体的にいくらくらいの費用がかかるのでしょうか。厚生労働省が発表した資料から、一部抜粋して先進医療にかかる費用をご紹介します。
放射線治療の一種である陽子線治療は実施医療機関が20施設しかありません(令和4年6月30日時点)。厚生労働省による資料を参考に費用を計算すると、先進医療総額(3,482,033,800円)÷年間実施件数(1,293件)=2,692,988円となり、治療1件あたり約269万円かかっていることがわかります。[注1]
重粒子線治療もがん治療の一種で、炭素イオンをがん細胞に照射して死滅される先進医療です。重粒子線治療を実施している医療機関は5施設で(令和4年6月30日時点)、こちらも厚生労働省の資料を抜粋して1件当たりの費用を計算すると、先進医療総額(1,777,483,000円)÷年間実施件数(562件)=3,162,781円と、1件あたり約316万円かかっています。[注1]
家族性アルツハイマー病の遺伝子診断は治療ではなく、遺伝子異常を見つけるための診断です。
家族性アルツハイマー病の遺伝子変異を診断するための先進医療を実施しているのは1施設のみで、治療費用は先進医療総額(150,000円) ÷年間実施件数(5件)=30,000円と、1件あたり3万円かかります。[注1]
前項でも説明したとおり、先進医療の技術料は公的医療保険の対象外です。さらに、高額療養費制度も適用されないため、全額を自己負担する必要があります。
先進医療の費用に備えるには、医療保険やがん保険の特約を利用するのがおすすめです。
高額な先進医療費に備えるための特約が先進医療特約です。特約とは、主契約のオプションとして付加される契約を指し、それだけを単独で加入することはできません。
医療保険やがん保険の特約で先進医療費に備えられます。
「高額な先進医療費への備えなら、特約にかかる費用(保険料)も高いのでは?」と思うかもしれませんが、実は先進医療特約の保険料は毎月数百円程度となるケースが多いです。
フコク生命の保険商品では、「ワイド・プロテクト」や「終身医療保険(一時金タイプ)」といった保険商品に付加できます。
フコク生命では、先進医療特約を付加し、先進医療による療養を受けた場合、先進医療給付金として通算2,000万円を限度として、先進医療にかかる技術料と同額をお支払いします。
つまり、上限2,000万円で、先進医療を受けた分だけ何度でも給付金を受け取れる仕組みの特約です。
先進医療特約について、詳しくは「先進医療特約」も参考にしてみてください。
医療保険やがん保険に付加できる先進医療特約は、毎月数百円の負担で高額な先進医療費に備えられます。ただし、契約前にいくつか押さえておくべきポイントもあります。
最後に、先進医療特約加入時の注意点を確認しておきましょう。
先進医療特約には、一般的に限度額が設けられていることに注意しましょう。
例えば、「通算2,000万円を限度」とする先進医療特約の場合、給付金は2,000万円を超えて受け取ることはできません。1回300万円の治療を7回受けた場合、2,000万円までは先進医療特約の給付金を請求できますが、2,000万円を超えた100万円は自己負担となります。
先進医療の対象は随時見直しされています。一般的に、先進医療特約では契約時に認可されている先進医療ではなく、治療を受けた時点で認められているものが対象となります。
例えば、2022年に先進医療特約を契約した場合で考えてみましょう。Aという先進医療は2023年3月まで認可されていたものの、同年4月より認可外となりました。この先進医療Aを2023年4月に受けた場合は、先進医療特約の給付金を受け取ることができません。
(この場合、先進医療Aは保険適用の診療に変更されているため、全額自己負担にはなりません。)
2023年07月04日
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