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大分県日出町子宮頸がん予防啓発プロジェクト「ハロースマイル」inハーモニーランド


大分支社お客さまアドバイザー

あなたと、あなたの大切な人の笑顔のために
自分のからだと向き合い、健やかでいてほしい

2023年の創業100周年に向け、わたしたちは「THE MUTUAL(ザ・ミューチュアル)-次代の"相互扶助"を考える-」というコンセプトのもと、100周年プロジェクトに取り組んでいます。「THE MUTUAL」とは共感・つながり・支えあいをベースとした次の100年に向け進化する次代の相互扶助のことです。

今回、大分支社のお客さまアドバイザーがお話を伺ったのは、株式会社サンリオエンターテイメントの代表取締役社長を務める小巻亜矢さん。小巻さんはご自身のがん罹患や、子宮全摘出の経験をきっかけに、2010年に子宮頸がん予防啓発プロジェクト「ハロースマイル」を設立。「ハロースマイル」実行委員会の委員長として、プロジェクトの先頭に立ち、女性たちへがん検診の大切さを伝え続けています。

2021年11月、大分県にあるサンリオのキャラクターパーク“ハーモニーランド”にて「ハロースマイル」のスペシャルイベントが行われ、大分支社の職員がイベントのお手伝いをさせていただくことになりました。イベントでのご縁をきっかけに、誰もが働きやすい社会を実現するために活動をされている小巻さんに、プロジェクトの歩みや想いについて伺いました。

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大分支社のお客さまアドバイザーの問いかけに、一つひとつ丁寧にお答えくださった小巻さん(左)。

キャラクターたちが伝える
「自分のからだと向き合って!」のメッセージ

お客さまアドバイザー(以下、お客さまAD) 小巻さんが子宮頸がん予防啓発プロジェクト「ハロースマイル」を立ち上げたきっかけや当時の想いをお聞かせください。

小巻亜矢さん(以下、小巻) きっかけは、わたし自身が乳がんを患ったことです。がんと言われると、やはりショックで、もっと自分の体調を気にかけていれば…と反省しました。同時に、仕事や結婚、出産といったライフイベントが盛りだくさんの20代、30代の女性たちに「忙しくても、自分のからだを気にかけてあげてね」と伝えたいと強く感じました。

当時「ピンクリボン運動」など、乳がんに関する活動は比較的盛んでした。ただ、乳がん以上に、若い女性の罹患が多いのが子宮頸がん。より多くの女性たちに、健やかで自分らしく輝ける人生を送ってほしい。そんな想いで、2010年に立ち上げました。「ハロースマイル」というプロジェクト名には、「あなたと、あなたの大切な人の笑顔のためにも自分のからだに向き合おう」。そんな想いが込められています。

お客さまAD 苦しいご経験だったかと思いますが、その中で生まれた想いが、プロジェクトの立ち上げにつながったのですね。現在、「ハロースマイル」では、どのような活動をされていますか?

小巻 子宮頸がんの正しい知識と情報の発信や、予防啓発活動をテーマとしたイベントをサンリオのテーマパークなどで開催しています。「ハロースマイル」の活動を通じて、どうしたらより多くの女性たちが自身の健康と向き合い、がん検診を受診してくれるだろうか。わたしたちは11年間、この問いについて考えてきました。
例えば「子宮頸がんを予防しよう!」「がん検診に行きましょう!」と書かれたポスターやリーフレットを見ても、自分ごとに捉えてくださる女性は多くありません。「がん」という言葉には、なんとなく触れたくない怖さがありますしね。

そこで活用したのが、「ハローキティ」を始めとしたサンリオのキャラクターたちでした。キャラクターたちを通してメッセージを伝えることで、幅広い女性たちに関心を持っていただけるのではと考えました。「ハロースマイル」のロゴにも、キャラクターたちの横顔が使われています。デザインは「見つめる先には、幸せな未来がある」という活動コンセプトを表現しています。

お客さまAD 「ハロースマイル」のホームページからは、「自分のからだと向き合ってほしい」というメッセージとともに、親しみやすく、やわらかな雰囲気を感じます。それはきっと、キャラクターたちのおかげですね。

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© 2022 SANRIO CO., LTD. APPROVAL No.P1312272
「見つめる先には、幸せな未来がある」という活動コンセプトを、キャラクターの横顔で表現した「ハロースマイル」のロゴデザイン

働く女性の活躍のためには
「女性の健康課題」を理解することが大切。

お客さまAD テーマパークでのイベントを通して、子宮頸がん予防啓発活動に取り組まれている理由についてお聞かせください。

小巻 がんを始めとした病気の話は内容が重たくなりがちですが、イベントを通して想いを伝えることで、病気について考えたり話したりするハードルが下がるのではないかと考えました。イベントではアーティストの方やサンリオキャラクターのライブステージを開催するなど、エンターテイメント性を高める工夫をしています。テーマパークでの時間を楽しんでいただきながら、自分自身の健康や、がん検診へと意識を向けていただく機会になればと思っています。

お客さまAD 楽しみながら健康について考えられる機会は、なかなかありません。素敵なアイデアですね。2021年11月6日には、「ハロースマイル」のスペシャルイベントが大分で開催されます。開催の経緯について教えてください。

小巻 大分県には、サンリオのテーマパーク“ハーモニーランド”があります。“ハーモニーランド”を拠点に、西日本の方々に向けた子宮頸がん予防啓発活動に取り組みたいという想いから、イベント開催が決まりました。
また、大分県とサンリオがSDGsの推進に向けて連携し、さまざまな取組みをスタートさせていることも開催理由のひとつです。「SDGs17の目標」の中でも、自治体や企業の経営において「#5 ジェンダー平等の実現」は重要な課題とされています。しかし、「管理職の30%を女性に」といったスローガンが掲げられても、日本では女性の活躍が思うように進んでいません。

進まない理由として、「女性の健康課題」への理解の低さが一因だと考えています。女性のキャリアを考える上で、毎月の生理や出産、更年期など、女性の健康課題を考えることは避けて通れません。わたしたちは、大分県とともに「ハロースマイル」の活動をひとつのきっかけに、女性の健康課題を気軽に話せるような社会を実現したいという想いがあります。今回、大分県、そして大分県で活動されている大分支社のみなさまとともに「ハロースマイル」のイベントを実施できることを、ありがたく思っています。

お客さまAD わたしたちも、「ハロースマイル」のイベントをお手伝いできることを嬉しく思っています。イベントをきっかけに、女性特有の健康課題について考える機会が増え、生理や更年期の話題に触れやすい社会づくりにつながるといいですよね。

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ハーモニーランドで開催された「ハロースマイル」のスペシャルイベントでは、
小巻さんと歌手の新浜レオンさんが検診の大切さについて語り合うトークセッションや、
サンリオキャラクターたちも参加しての歌謡ライブステージが行われました。

体質や体調は、人それぞれ違う。
周りを思いやることで、誰もが働きやすい環境に。

お客さまAD 小巻さんは、子宮頸がんをはじめとした女性ならではの病気を悪化させないために、どんなことが必要だと思われますか?

小巻 繰り返しになってしまいますが、まずは「自分のからだをきちんと知ること」は、健康に生きるために欠かせません。女性だけでなく、男性にも気にかけていただきたいことです。

たとえば、女性は生理が不調でも「みんな、こんなものだろう」と放置してしまい、気づかないうちに症状を悪化させてしまうことがあります。わたし自身、若い頃は自分の健康に対して無頓着で、子宮内膜症が悪化して子宮の全摘出を余儀なくされました。「ハロースマイル」は、女性たちにこのような経験をしてほしくないという、切実な想いで立ち上げたのです。
働く女性にとって、生理は憂鬱ですよね。大事な会議で頭がぼんやりしたり、感情をコントロールできなくなったり。しかし、生理によって毎月体調のお知らせを受け取っているとも言えます。そんな風に見方を変えて、自分のからだの声を聴いてあげてほしいです。

お客さまAD おっしゃる通り、憂鬱な生理も見方を変えれば前向きに捉えることができますね。女性が働きやすい環境をつくるためには、周りの理解や支援も大切だと思います。

小巻 病気の予防や治療のためには、身近にいる人たちに理解を深めてもらい、女性の健康課題について話しやすい環境をつくっていくことが必要です。

お客さまAD 確かに、職場では話しづらい話題です。わたしたちの職場も女性が多く、人知れず悩みを抱えている職員もいるかもしれません。

小巻 実は、女性同士の壁に悩まれている方も多いのが実情です。女性の上司が「わたしは、生理や更年期がつらくても我慢してきた」というように、自分の経験をベースに話をしてしまうと、女性の部下は自分の不調について話しづらくなってしまいます。体質や体調は、人それぞれ違うということを理解し、思いやりある風土をつくっていきたいですね。

女性が働きやすい「思いやりにあふれた職場」は、みんなにとって働きやすい職場になるはずです。より多くの企業で、女性の健康課題について話し合う機会を持っていただいたり、女性が働きやすい職場づくりを考え、実践していただけたら、日本の社会全体が良い方向へ変わっていくと思います。

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女性が働きやすい、思いやりにあふれた社会を実現したいという想いを、真剣な表情で語ってくださいました。

相手を深く理解する「対話」が、
支えあい、助け合いに満ちた社会を実現する。

お客さまAD 「ハロースマイル」での小巻さんの活動は、“互いに理解し合い、思いやり、助け合うことが大切”ということを多くの人たちへ伝えていく、まさに「THE MUTUAL」な取組みだと感じています。ぜひこれからも活動を支援していきたいと思っています。予定されている活動やイベントはありますか?

小巻 「ハロースマイル」は、11年にわたり女性の健康課題に向き合い、活動を続けてきたことが評価され、国連人口基金と特別協賛の形でパートナーシップを組んでいます。2021年7月には、サンリオピューロランドで「Let’s talk!」というイベントを開催しました。女性の健康課題についてグローバルな観点で話し合い、タブーをなくしていこうという取組みです。会場ではさまざまなバックグラウンドを持つ方とお話ができ、約6,000人の方がオンラインからも参加してくださいました。「ハロースマイル」の活動がこの先、グローバルに広がっていく予感がしています。

お客さまAD 世界には、女性の健康課題への理解がほとんどない地域があると、小巻さんの著書から教わりました。「ハロースマイル」の活動を通して、そういった地域にも理解が深まっていくことを願っています。11年積み重ねてきたことが、世界中の女性の笑顔につながる可能性にワクワクしますね。

小巻 ありがとうございます。グローバルな活動にも力を入れていきたいですが、対面とオンラインの両面からの情報発信は、これからも地道に続けていきたいですね。みなさんとも、テーマパークでのイベントで、またご一緒できればうれしいです。フコク生命さんは、多くの女性が活躍されている職場だと伺いました。この出会いをきっかけに、「ハロースマイル」の活動を職員のみなさんに知っていただけたら光栄です。

お客さまAD わたしも、職場で「ハロースマイル」の活動や、がん検診の大切さを伝えていきたいと思います。
では、最後の質問です。
フコク生命は2023年11月22日に100周年を迎え「THE MUTUAL〜次代の相互扶助を考える〜」をコンセプトに、フコク生命に関わるすべての人のつながりを深め、支えあい、真の"相互扶助"を体現する組織を目指し、これからの時代に求められる“支えあい、助け合い”のあり方を探しています。
小巻さんは、人が豊かに、健康に暮らしていくために、人と人との関係はどうあるべきだと思われますか。

小巻 「THE MUTUAL」、素晴らしいコンセプトですよね。「MUTUAL」という言葉に込められた「支えあい・助け合い」の気持ちは、人が生きていく上での根幹だと思います。強みを分かち合い、弱みを補い合うことは、同じ社会に生きる上で、最も大切なつながりだと感じます。100周年を迎えられるにあたって、その言葉に立ち返られたことに尊敬の念を覚えました。

真の相互扶助とは…このような大きな問いに答えるのは恐縮ですが、「対話」をすることが、人とのつながりをつくり、助け合うために必要だということは、言えると思います。

「対話」で交わされる言葉には、感情がこもります。話している相手はどんな痛みや喜びを抱えてきたのか、言葉の奥にはどんな経験があったのか…。そんなところまで意識しながら話をすると、相手を深く理解できます。自分も相手も、誰もが存在意義を持って生きている、尊重すべき存在だと感じられます。
そうすると「あなたのために、なにかしたい。」「できるだけ、多くの人をハッピーにしたい。」という利他の心が自然と芽生えてくる。その心を少しでも多くの人が持ってくださることで、支えあいや、助け合いに満ちた社会に近づいていくのではないでしょうか。

甲府支社

編集後記

大分支社 お客さまアドバイザー

「ハロースマイル」の活動に込められた小巻さんの強い想いに心を打たれ、まずは自分自身の健康状態にもっと気を配らなくてはと感じました。また、お話を伺う中で、子どもの頃から生理の話題など、女性特有の悩みはどこか話しづらかったことを思い出しました。職場でも女性の健康課題について話す機会をつくることで、少しずつ話題にしやすくなるのではと思います。性別を問わず働きやすい、思いやりのある職場づくりを目指したいとの思いを強く持ちました。
マネージャーとして、女性として、小巻さんは憧れの存在です。小巻さんのおっしゃるように、相手のことを真剣に考え、深く理解する「対話」をしていくことで、お客さまや同僚とのつながりを深めていきます。

※マスクを着用していない写真は、撮影時のみ外して撮影しています。

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