健全性の基準を満たしているか判断するための各指標についてご案内いたします。
ソルベンシー・マージン比率とは、大災害や株価の大暴落など、通常の予想を超えて発生するリスクに対する「支払余力」を示す、行政監督上の指標のひとつです。
1,154.1%(フコク生命単体:1,112.3%)
2024年度上半期末の連結ソルベンシー・マージン比率は、前年度末比35.6ポイント低下の1,154.1%となりました。
健全性のひとつの基準である200%を大きく上回り、引き続き高い健全性を維持しております。
ソルベンシー・マージン比率のほかに、監督当局が保険会社の健全性を判断する指標のひとつとして、「実質純資産額」があります。これは、時価ベースの資産の合計から、負債(価格変動準備金や危険準備金などの資本性の高いものを除く)を差し引いて算出するものです。この金額がマイナスになると、実質的な債務超過と判断され、業務停止命令などの対象となることがあります。
2兆909億円(フコク生命単体:2兆584億円)
2024年度上半期末の連結実質純資産額は、前年度末比1,739億円減少の2兆909億円となりました。
経済価値ベースのソルベンシー比率(ESR:Economic Solvency Ratio)とは資産と負債を時価評価したうえで、リスクに対し十分な自己資本を確保できているかを示す、保険会社の健全性指標の一つです。ESRのリスクはソルベンシー・マージン比率よりも対象が多く、その水準も大きくなるため、ESRはソルベンシー・マージン比率に比べて低くなります。
我が国ではESRに基づく健全性規制が2025年度(2026年3月末)より導入される予定であり、ESR100%を健全性の目安として設定する方向で検討が進められています。
当社では、先行する欧州の手法に準拠してESRを計算しており、統合的リスク管理(ERM)のほか、収益管理や配当政策等に活用しています。
2024年度上半期末のESRは、フコク生命単体では前年度末比6.9ポイント低下の242.0%となり、フコク生命グループでは前年度末比7.7ポイント低下の250.5%となりました。
(参考)欧州ではESRに基づく健全性規制が2016年に導入されており、主要な保険グループのESRは200%程度となっています。
ESRもソルベンシー・マージン比率と同様に、リスクに対する自己資本として比率を計算するものの、自己資本およびリスクの評価に違いがあります。
ソルベンシー・マージン比率は財務会計のバランスシートを用いて計算される一方で、ESRは資産と負債を時価評価した経済価値ベースのバランスシートを用いて計算されます。財務会計上、簿価評価される責任準備金も時価評価されるため、金利が低下した場合の逆ざや相当額が将来分も含め一度に認識されるようになります。
ESR のリスクはソルベンシー・マージン比率に比べて対象が多く、水準も引上げられます。
含み損益とは、帳簿価額と時価との差額のことをいい、その値がプラスの場合、含み益といいます。また、逆にマイナスの場合、含み損といいます。
時価が帳簿価額を上回る場合に資産を時価で売却すれば、売却益が得られることから、有価証券と不動産の含み益は、さまざまなリスクに対する備えの機能を持つといえ、その一部はソルベンシー・マージン総額に算入されます。
9,747億円
2024年度上半期末の有価証券・不動産の含み益は、前年度末比13.5%減少の9,747億円(そのうち有価証券は7,979億円、不動産が1,768億円)となりました。