2025年6月号の「フコク経済情報」から、一部を抜粋してお届けします。
フィリピンは、比較的給与水準が低位なサービス業中心の産業構造となっている。製造業においても大きな強みがなく、結果として他のASEAN諸国と比較して所得水準が伸び悩み、十分な雇用も創出されていない。
海外直接投資(FDI)を呼び込むことで各産業の高度化を進め、雇用創出、所得水準の改善を図ることが求められるものの、現状ではインフラ面や高い公共料金に課題があり、停滞している。
インフラ整備等、FDI誘致に向けた基盤構築が政府主導で進められており、中長期的には産業の多様化・高度化に伴う雇用環境の改善が期待できる一方、当面は所得の伸び悩みは継続するだろう。
債務残高対GDP比の安定には、利子率(r)< 経済成長率(g)が重要であり、この条件下では、基礎的財政収支が赤字でも同比率は安定し得る。
日本を含む多くの先進国では、人口動態の変化や安全資産需要の増加などの要因により、r < gの状態が続いている。
過度な財政支出拡大は金利上昇(特にタームプレミアムの上昇)を招くリスクがあり、この点に注意しながら財政運営が行われる必要がある。